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損保ジャパン日本興亜と第一交通産業、アクセンチュアの3社は8月25日、先進的な自動車運行管理支援による自動車事故防止のための共同研究を開始したと発表した。

運輸安全マネジメント制度の導入以来、企業による自動車事故件数や死傷者数は着実に減少したが、運転手の体調異変による事故件数は増加傾向にあり、今もなお社会的影響の大きい事故が発生している。このような状況を踏まえ、3社は各社が持つ情報や技術を活用した、事故を未然に防ぐ先進的な運行管理を実現するための共同研究に取り組む。

共同研究は、損保ジャパン日本興亜がグランドデザインを行い、公共交通機関や運輸業向けに、事故を未然に防ぐ先進的な運行管理を支援する、統合情報プラットフォームの構築を目指す。この実現のため、アクセンチュアが持つ、インテル社との協業関係を活用し、インテル社からプラットフォーム構築に必要な技術提供を受ける。

具体的には、第一交通産業のグループ会社が保有するタクシーに設置するドライブレコーダーから運行データを収集すると同時に、ドライバーが時計型のウェアラブルデバイスを勤務時に着用することで得られる生体情報(心拍数)を取得する。収集データはインテルのリファレンス・アーキテクチャーを採用したIoTプラットフォーム上で、タクシー乗客の画像を除外する等の処理を行い、クラウドストレージにアップロードする。アクセンチュアは画像情報、運転挙動情報、生体情報や車両情報等の多岐にわたるデータの分析を行い、ドライバーごとの事故発生リスク等を評価する手法を開発していく。ディープラーニングなどの高度なデータ解析手法を用いることで、新たな分析手法が組み込まれた統合情報プラットフォームの構築を目指す。

なお、2017年3月から実施している第1弾の概念実証実験では、タクシー100台とタクシードライバー100名から取得したデータより、乗務中の心拍の変動やしぐさから、眠気などのヒヤリハットに関係する兆候を識別することに成功。このプラットフォームを活用することで、業務中や将来にわたるドライバーの健康管理、事故を未然に防ぐ施策実行、ドライバーの運転傾向把握、個人の特性に合わせた交通安全指導など、ドライバーごとのリスク評価結果に基づく運行管理が可能になる。

今後3社は、概念実証実験の結果をふまえて、各社の持つファシリティーや技術、ノウハウを活用し、安心・安全・健康な社会の実現に向けたIoTソリューションの開発に取り組むとともに、参画企業を広げるなど社会への普及を目指していく。