トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》

ジャカルタの街を走っているクルマを観察していて驚くことのひとつが、トヨタ『アルファード/ヴェルファイア』がかなり多く走っていることだ。実は、現地で大人気モデルなのである。

人気の理由はいくつか考えられるが、まず室内が広いことがあげられる。それからトヨタ『イノーバ』(アセアン地域向けMPVでトラックと共用のラダーフレーム使った構造)など、現地向けに作られたMPVに比して乗り心地がいいこと、スライドドア&低床フロアで乗り降りがしやすいこと、そしてラグジュアリーな内装と電動スライドドアなど上級装備が充実していることなど、乗用車として考えた場合にアドバンテージが大きいのだ。

パワートレインは、ヴェルファイアは2.5リットル直4エンジンのみだが、アルファードは3.5リットルV6やハイブリッドもラインナップ。価格は9億470万〜17億2310万ルピア(日本円にして約750〜1400万円)。日本からの輸入なので関税がかかり販売価格は高い。

そんなトヨタの次の一手が、ヴォクシーの投入。日本でいう5ナンバーボックス型ミニバンも、アルファード/ヴェルファイアに比べると少数だが、ジャカルタの街でも見かける。目立つのは、5ナンバー枠ではないが同じクラスのマツダ『ビアンテ』で、一時期大ブレイク。その後は日産『セレナ』の人気が高い。

トヨタも『NAV1』という名前で先代『ノア』をノックダウン生産しているが、人気は盛り上がらなかった。そこで新型ヴォクシーを投入し、シェアを奪っていこうというわけだ。

インドネシア国際オートショー2017(インドネシアモーターショー)会場で実車を見ると、基本的には日本仕様と変わらないが、インパネには日本では見かけないソナーやセキュリティのスイッチが追加されていた。

価格は4億4600万ルピア(約370万円)だ。高価だから購入対象は富裕層に限られるものの、MPVとは次元の違う広さや快適性、そして乗降性は間違いなく受け入れられるだろう。そしてアルファード/ヴェルファイアの成功と同様に、ジャカルタ市内で頻繁に見かけるようになる可能性は極めて高い。

そんな新型ヴォクシーの成功をいちばん恐れているのは、これまでセレナで「この世の春」を謳歌してきた日産だろう。

トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》 トヨタ・ヴォクシー(インドネシアモーターショー)《撮影 工藤貴宏》