スズキは8月3日、2017年度第1四半期決算を発表した。それによると、売上高、営業利益、経常利益、純利益とも2ケタの増収増益で、文字通り好決算だった。課題の二輪事業も20億円の営業黒字を達成した。
スズキの二輪事業は万年赤字体質と言われ、この5年間の通期業績を見ても、2013年度以外はすべて赤字。2013年度の営業黒字にしても、たったの1億円だ。そのため、鈴木俊宏社長も常々「二輪事業をなんとかしなければならない」と話しており、構造改革に取り組んできた。
その成果がここへきてようやく出てきたといった感じだ。二輪の世界販売も4万4000台増えて37万8000台となり、前年同期に比べて13.1%と2ケタも増えた。「特にアジア、なかでもインドやインドネシアでの販売が増え、生産、販売とも前年を上回ることができた」と長尾正彦取締役常務役員は話す。
そのアジアは前年同期の24万6000台から29万5000台に増加。長尾常務役員が販売好調と話したインドは7万2000台から10万9000台、インドネシアは9000台から2万1000台となっている。
また国内販売についても、今年テコ入れの一環として全面改良したスーパースポーツバイク『GSX-R1000』が好評で、1万4000台から1万9000台に増えた。おまけにそのGSX-R1000はマン島TTのシニアTTレースグラスで見事優勝し、販売に拍車をかけた。
しかし、スズキの二輪事業は油断禁物だ。というのも、2014年度第1四半期に10億円の営業黒字だったのが通期になったら7億円の営業赤字になっているからだ。2011年度も同様で、3億円の黒字だったのが24億円の赤字になっている。さらに遡れば、2008年度第1四半期に59億円の営業黒字だったにもかかわらず、通期では64億円の赤字になっているのだ。
第1四半期に20億円の営業黒字を達成したからと言って安心できる状況ではない。鈴木社長が掲げる二輪事業の黒字体質定着には、さらに努力が必要でまだしばらく時間がかかりそうだ。
スズキ、世界販売13.1%増で万年赤字の二輪事業が黒字に
2017年08月04日(金) 11時15分
関連ニュース
- 【スズキ スイフト 新型試乗】5ナンバーサイズに収めたスイフトならではの見識…河村康彦 (04月07日 12時00分)
- トヨタ、新型SUVを間もなくインドで発表へ…スズキのOEMの可能性も (04月03日 09時45分)
- 2023年度「軽」新車販売、“途中退場”のダイハツ抜きスズキが18年ぶり首位[新聞ウォッチ] (04月02日 08時00分)
- 【スズキ スペーシアカスタム 新型試乗】軽ハイトワゴンでは一歩抜きんでた存在になった…諸星陽一 (03月31日 12時00分)
- 鈴鹿8耐参戦のサプライズも、これこそ未来を見据えた「スズキの現在地」…東京モーターサイクルショー2024 (03月25日 15時44分)