トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》

1980年に「セリカ・カムリ」としてスタートした『カムリ』がフルモデルチェンジ、10代目に移行した。

初代ではセリカの4ドア版、そしてFRモデルであったカムリは、走りのセダンとしてその歴史をスタートさせたが、82年登場の2代目では早くもFF化。また80年に「クレスタ」が登場、「マークII」、「チェイサー」と合わせていわゆるマークII 3兄弟を形成。セダンの人気モデルはFRのマークII系に取って変わられた。一方カムリは2002年から15年連続で北米乗車販売台数ナンバー1と、北米では確固たる人気を誇るモデルへと進化した。

今回フルモデルチェンジされたカムリは10代目にあたる。新型カムリはトヨタがすすめる新しいクルマ作りの思想“TNGA”をすべての部分に盛り込んだ“フルTNGA”モデルであることも注目されている。

新しいカムリはTNGA思想に基づいたプラットフォームを採用。搭載されるパワーユニットは2.5リットルエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドで、エンジンが178馬力/221Nm、モーターが120馬力/202Nmのスペック。システム出力は211馬力。ミッションはトヨタオリジナルの電子制御式CVTだ。

パワーフィールはきわめて良好。モーターとエンジンはシームレスに連携し、一切の段付きを感じさせない。アクセルペダルをグッと踏み込めばエンジン、モーターを最大に使った力強い加速を味わうことができる。カムリのハイブリッドシステムはハイブリッドであることを意識させない。エンジンとモーターとの一体感があるところが進化を感じさせる部分だ。

シャシー性能も高く、コーナーに入っていく際のステアリング操作に対するクルマの動きの反応も俊敏だ。しかも決してセダンの性能を裏切るような急激な動きではなく、ある程度のゆったりさを持たせたもの。セダンらしいスポーティさで乗り心地を犠牲にはしていない。

乗り心地も良好。セダンに求められる乗り心地をしっかり確保していると言える。ただひとつ気になったのはタイヤのサイズ違いでノイズが大きく違ったこと。カムリはグレードによって16インチ、17インチ、18インチの3種のタイヤが設定されている。試乗したのは17インチ(ミシュラン・プライマシー)と18インチ(ブリヂストン・トランザ)であったが、17インチのほうが圧倒的に静粛性が高かった。

17インチのグレードは「G」、18インチは「Gレザーパッケージ」でJC08モード燃費はともに28.4km/リットル。残るグレードの「X」は16インチを履き、燃費は33.4km/リットル。GとXの車重差は30kgしかないので、Xの燃費はかなりタイヤに頼っていそうだ。Xの乗り心地、ノイズなどは要チェック項目として残しておきたい。

価格はXが329万4000円、Gが349万9200円、Gレザーパッケージが419万5800円。おすすめはG。ただしTコネクトのナビは31万円(税抜き)でオプション。このナビを付けると、インパネ上、ナビスペース横のデジタル時計がレスになってしまうのが難点だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

Gの17インチタイヤ《撮影 諸星陽一》 Gレザーパッケージの18インチタイヤ《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 諸星陽一》 トヨタ カムリ 新型《撮影 宮崎壮人》