日産自動車の本社《撮影 山田清志》

日産自動車は7月27日、2017年度第1四半期決算についての記者会見を行った。その中で、田川丈二常務執行役員は「グローバルの全体需要が1.6%増加に対し、日産は5%伸びて、シェアについても0.2ポイントアップした」と評価した。

日産のグローバル販売は135万1000台(前年同期比5.0%増)で、特に国内市場が45.6%増の13万1000台と大きく伸びた。これは軽自動車の販売再開や新しいタイプの電気自動車『ノートe-POWER』、自動運転技術「プロパイロット」を搭載した『セレナ』の販売が好調だったためだ。その結果、シェアも2.6ポイント増の10.9%になった。

米国市場についても、全需が3%減少するなか、日産は『ローグ』や最近発売した『ローグスポーツ』などのSUVが販売を牽引し、40万3000台と1.2%増加した。ロシアを含む欧州やアジアについても、それぞれ1.1%増の18万5000台、3.8%増の39万7000台だった。2016年度第1四半期が北米以外すべての地域で前年割れだったので、文字通り様変わりした格好だ。

おかげで売上高は2兆7604億円と4.0%増加した。しかし、営業利益は1533億円で12.8%も減少し、営業利益率は1ポイント悪化の5.6%になっている。それは日本以外が大きく減少しているためだ。日本が952億円(40.0%増)に対し、北米508億円(36.0%減)、アジア174億円(23.5%減)で、欧州に至っては27億円の営業赤字に転落している。

その減益要因で大きな部分はマーケティング・販売費用で、前年同期に比べ508億円も増えている。言ってみれば、台数を確保するためにインセンティブ(販売奨励金)を積み増したわけだ。

田川常務執行役員は「満足のいく結果になった」と話していたが、2ケタの営業減益、1ポイントの営業利益率悪化という結果に“満足”という言葉を使っていいのだろうか。

日産自動車の田川丈二常務執行役員《撮影 山田清志》 日産自動車の2017年度第1四半期決算会見の様子《撮影 山田清志》