シトロエンC3《撮影 内田俊一》

プジョー・シトロエン・ジャポンが導入を開始するシトロエン『C3』は、実用性、快適な乗り心地、価格に加え、守られているという安心感や、個性を主張出来るユニークさやデザイン、そして、いつでも仲間と繋がっていたいという要望をベースに開発された。

◇ベストセラーのモデルチェンジ

2002年に初代がデビューしたC3は、シトロエンブランドにおけるベストセラーとして、世界累計販売台数は350万台を超え、シトロエン5台あたり1台を占める割合だ。日本ではその比率が3台あたり1台となり、日本においても重要なモデルと位置付けられる。そして、3代目も同様の役割を担うことになる。

C3のフルモデルチェンジに際しシトロエンはこのセグメントのカスタマーが何を望んでいるのか調査を行った。そこで重視されたのは、「実用性、快適な乗り心地、価格だが、同時に守られているという安心感や個性を主張出来るユニークさ、そしてデザイン。そこに加え、いつでも仲間と繋がっていたいというものだった」とは、プジョー・シトロエン・ジャポンマーケティング部商品企画グループマネジャーの関博幸さんの弁。

この結果から3つの開発目標が掲げられた。ひとつは、「安全性や快適性を重視する、現行モデルのお客様の期待に沿う商品であること」。次に、「従来シトロエンを検討してもらえなかった方の中で、トレンドやスタイルに敏感なアクティブなファミリー層にアピール出来ること」。最後は、「若返りだ。より多くの若年層をお客様として取り込むことで、ブランドイメージそのものをリフレッシュすることを狙っている」と関さんは述べた。

◇女性比率が高いC3

C3のターゲットユーザーについて、同社マーケティング部シトロエン・DSプロダクトマネジャーの水谷昌弘さんは、「欧州でも日本でもそれほど変わらず幅広い年齢層を獲得している」という。「購入者層は平均40代後半が中心だが、分布はあまりでこぼこしておらず、競合車ともそれほど変わらない」と話す。

しかし、「女性比率が非常に高く、半分以上(一昨年から昨年前半の数値で58%)を占めている。例えばプジョー『208』や競合車などの女性比率は3割程度なので、ほぼ倍の比率だ」と説明。

また、2代目C3は、「ゼニスウィンドウが特徴的であるとともに、ボディがコンパクトで使いやすく、シトロエンはそれほど数が走っていないので、ちょっとおしゃれに乗りたい、また、人と同じクルマは嫌だという方が多かった」と述べ、その使用用途は、「子供の送り迎えの奥様用。ご主人は違うクルマを持っていて、セカンドカーという位置付け」だという。

C3では“いつでも仲間と繋がっていたい”という意見から、シトロエン・コネクテッドカムが採用された。これは、フロントウィンドウに取り付けられた HDカメラが、車両前方の風景を写真とムービーとして記録。スマートフォンを使ってソーシャルメディアなどへ投稿が可能なものだ。水谷さんも「ウリのひとつ」としたうえで、「こういった機能があることで若い人向けのクルマと思われるかもしれないが、実はSNSユーザーは、30代から40代が最も多い。若い人も取り込みたいが、幅広い年齢層に今まで通りアピールしていきたい」とした。

◇エクステリアデザインのキーワードはブラックアウト

エクステリアデザインは、『C4ピカソ』や『C4カクタス』から取り入れられた、2層に配置されたデイタイムライトとヘッドライトが特徴的だ。このフロントフェイスは今後、他のモデルにも継承されていくという。

エクステリアのキーワードは“ブラックアウト”。「サイドウィンドウ周りをブラックアウト処理することで、ルーフカラーとボディカラーのコントラストを引き立てている。また、ホイールも一部ブラックアウトされ、このコントラストによってタイヤ全体が、一層際立っている」と関さん。

また、C4カクタスで初採用されたエアバンプをリファインし、標準装備された。このエアバンプは樹脂に空気を封入したブロックから構成されており、外部からの軽微なショックを和らげることが出来ることから関さんは、「乗員が守られていると感じてもらえる装備だ」と話す。その一部にワンポイントのカラーを与え、機能美だけでなくデザインのアクセントとしている。

◇ゼニスウィンドウの代わりはパノラミックサンルーフ

さて、先代にあったゼニスウィンドウが新型ではなくなってしまった。その理由について水谷さんは、「重量のバランスも多少あったようだが、それ以上に、後席も明るくしたいということに尽きる」という。ゼニスウィンドウは前席の人がいかにもオープンカーに乗っているような、天井が一切視界に入ってこない独特な開放感で人気があった。しかし、後席にも乗車する機会が多く、また、子供を乗せるというファミリー層も考えうることから、「その子供にも開放感があり、また車内全体を明るくしたかったので、パノラミックサンルーフ(ガラスルーフ)をオプション設定した」とし、「総ガラス面積はもちろんゼニスウィンドウを上回る」と十分に代わりになることを強調した。

◇C3の強みは足の良さ

水谷さんはC3の強みについて、「シトロエンの足だ」という。「我々のグループにはプジョー『208』があるが、明らかに違う乗り心地。実際にテスターが乗り込み、ドイツ車よりも他のフランス車よりも最良にしている」と述べる。しかし、実際の数値には現れず、「フランス人がシトロエンの乗り心地を肌感覚でセッティングし煮詰めたものだ。“ヒューマン”というシトロエンのバリューがあるが、人の感覚を大事にして数値に出来ないものを重視してセッティングされている」と語る。「例えば100m 走って、最初のコトンとしたショックでも、ああいいねと感じてもらえる良さ。そこに加えシートのクッションの良さもある。表面の触感や、質感などだ」とし、「シトロエンのお客様に乗ってもらえれば、今まで通りのシトロエンだなと納得してもらえ、デザインがモダンなので、よし買い換えようとなってもらいたい」という。

一方、競合車からは、「こういう柔らかさをシトロエンらしさというのかと、乗ってもらえれば納得してもらえるだろう。安全装備の部分でも十分にマーケットレベルに達しており、更にこの足の良さで勝負したい」と意気みを語った。

シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》 シトロエンC3《撮影 内田俊一》