トヨタ カムリ 新型《撮影 宮崎壮人》

『カムリ』の日本での存在感は希薄だが、北米のミドルサイズセダン市場ではホンダ『アコード』と熾烈なトップ争い繰り広げている。

カムリは2002年から昨年までアメリカで15年連続乗用車販売台数第一位を獲得。最近はSUVの台頭により販売面で苦戦しているが、カムリはまさに“ドル箱”の車種。

新型は『プリウス』『C-HR』に続く第3弾のTNGAプラットフォーム採用車。パワートレーンなどもすべてゼロから開発したというから期待が高まる。運転席に座るとヒップポイントが低く、スッとなじむ感じでドライビングポジションが取りやすくなっている。

足を自然に伸ばしたところにアクセルペダルとフットレストがレイアウトされていて、アクセルの踏み込み感がいい。念のため足元を見るとオルガン式のペダルを採用していて、これによって操作感が向上している。最近のマツダと車同様にカムリもドライビングポジションを重視しているようだ。

日本市場用は新型も2.5リットルハイブリッドのみの設定で、北米はハイブリッドのほかにノーマルの2.5リットルと3.5リットルV6ガソリンエンジンを用意している。ハイブリッドはTHS IIのままだが制御が洗練された。エコモードで一般道を走ると軽負荷時は頻繁にエンジンを止め、EV走行になる。

その切り替えはシームレスでメーター内のインジケーターを見ていないとわからないほどスムーズ。ノーマルモードでもこうした制御は同じだが、パワーモードの加速感がリニアになったのも新型の特徴。

改良が重ねられたTHS IIはアクセルを大きく踏み込んでもエンジン回転を一気に高めることがなく、車速とうまくリンクしている。ちょっとしたワインディングロードを走ったが、215/55R17サイズのタイヤを履くGグレードでもコーナリングが気持ちいい。

コーナーに入るとグッと腰を落としたようなロールが少ない姿勢で駆け抜けられる。Gレザーパッケージはさらに太い235/45R18サイズを履くが乗り心地は17インチ仕様と同様のソフトさを実現している。

新型の走りは、低重心パッケージというのが効いているのがよくわかるいい仕上がり。クジラのようなフロントグリルのデザインセンスはともかく、走りの質感が大幅に高められている。トヨタはカムリで“セダンの再認識と再創造”を目指すといっているが、手が届きやすい価格のノーマル2.5リットルを日本市場にも設定してほしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。

トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 ACCやレーンキープなどのスイッチは、トヨタ車が採用するレバー式ではなく、一般的なステアリングスイッチタイプのためとても使いやすい《撮影 丸山 誠》 2.5Lハイブリッドエンジンは静粛性が高く、一般道ではEV走行が多くなった《撮影 丸山 誠》 インテークパイプにはレゾネーターの役割もあるという不織布が貼られている《撮影 丸山 誠》 補機用のバッテリーはトランクの右側にレイアウト《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ G《撮影 丸山 誠》 オルガン式アクセルペダルは操作感がいい。ペダル横の段差が右足のフットレストにもなる《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 トヨタ カムリ Gレザーパッケージ《撮影 丸山 誠》 Gレザーパッケージ 前席の腰の部分に革を重ね合わせたステッチが通るため、コーナリング時に体が押し付けられると違和感がある《撮影 丸山 誠》 GレザーパッケージとGにはブルーのイルミネーションを装備。インパネやドアパネルなどが光る《撮影 丸山 誠》 低重心化の1つが後席下へのバッテリー配置。リチウムイオンバッテリーを小型化できたため可能になった《撮影 丸山 誠》 燃費向上のポイントが新採用のキヤッスルモーターオイル SN 0W-16。ターボエンジン搭載車にも適合する SN 0W-20はこの秋に発売予定。両方とも化学合成油でモリブデンを配合。従来車にも適合する《撮影 丸山 誠》