キリンビール横浜工場で稼働するFCフォークリフト《撮影:阿部哲也》

風力発電により製造した水素で燃料電池フォークリフトを稼働させる実証事業が、7月13日から京浜地区で本格稼働する。

12日に横浜市内で行われた会見には、トヨタ自動車専務役員の友山茂樹氏が出席。友山専務は「今後は化石燃料に依存する社会ではなく、再生可能エネルギー、電気、そして水素を上手に活用した多様なエネルギーからなる社会を構築すべきと考えている。将来の事業化に向けて、さらなるCO2削減策はもちろん、水素価格の低下をはじめとしたコスト面についても検討していきたい」とコメントした。

本プロジェクトは、経済産業省から委託を受けて、神奈川県、横浜市、川崎市の各自治体。そして岩谷産業、東芝、トヨタ自動車、豊田自動織機、トヨタタービンアンドシステム、日本環境技研の多くの民間企業が水素サプライチェーンを構築し、低炭素社会の実現を目指すもの。事業代表社はトヨタ自動車。2015年から行ってきた施設や設備の開発が今回完成し、2018年まで京浜地区で実証を行う予定だ。

水素サプライチェーンの概要は、横浜市にある風力発電所「ハマウィング」の敷地内に、水素を製造する電気分解施設や水素貯蔵施設などを設置。ここで製造された水素を、簡易水素充填車がユーザー(横浜市内や川崎市内の青果市場、工場、倉庫)へ届け、燃料電池フォークリフトに水素を充填・稼働させるというもの。

風力という再生可能エネルギーを利用することで、従来のガソリンフォークリフトや電動フォークリフト利用時に比べ、80%以上のCO2削減が可能になるという。

横浜市風力発電所「ハマウィング」《撮影:阿部哲也》 ハマウィング内に設置された水素貯蔵施設《撮影:阿部哲也》 トヨタ自動車 友山茂樹専務取締役(中央)《撮影:阿部哲也》 簡易水素充填車《撮影:阿部哲也》 水素充填中のFCフォークリフト《撮影:阿部哲也》