今季初優勝を飾った#9 ディクソン。《写真提供 INDYCAR》

現地25日、インディカー・シリーズ第10戦の決勝レースが米ウィスコンシン州の常設コース「ロードアメリカ」で行なわれ、ポイント首位のスコット・ディクソンが今季初優勝、リードを拡大した。佐藤琢磨は終始苦戦の展開で19位、ランキングでも3位から4位へと後退している。

全長6kmを超える、美しく雄大なコースレイアウトのロードアメリカが第10戦の舞台。予選ではシボレー勢のチーム・ペンスキー(Penske)が1-2-3-4を独占し、フィールドを支配する構えを見せる。

しかし決勝、それにほぼ単騎といっていい格好で戦いを挑み、見事に彼らを2-3-4-5フィニッシュの“敗戦”へと追いやったのが、今季シリーズポイントリーダーのスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)だった。

ディクソンはレース中盤にあったフルコースコーション明けのリタート時、ジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)との熾烈な競り合いを制してこのレース初めてトップに立つ。すると、その後は実質の先頭を譲らないままチェッカーフラッグを受け、今季初優勝、通算41勝目を飾った。

優勝したスコット・ディクソンのコメント
「マシンは週末を通してとても速かったよ。ペンスキー勢も今週末に何かをつかんだのか、非常に高い競争力を発揮していたから、彼らとのバトルになることは明白だった。ただ、自分は燃料ポンプのトラブルでウォームアップを走れず、修理はできたけれど、レースに向けては不安な要素もあったんだ。でもトラブルの再発はなく、チームの作戦も素晴らしかった。本当に嬉しい優勝だ。今シーズンは序盤戦からいくつかのレースを取りこぼしていたからね。チャンピオンシップに向けて多くのポイントも獲得できた」

シリーズポイントリーダーではあるが、今シーズンここまで勝利がなかったディクソンが待望の初勝利、ランク2番手以降に34点差をつけた。2003、08、13、15年と過去4度の戴冠歴を誇りながらも、今年7月で37歳と実は琢磨より若いインディカーの帝王ディクソン。5度目の王座獲りに向けていよいよ視界良好のようだ。

決勝2位はニューガーデン。以下、3〜5位にはエリオ・カストロネベス(#3)、シモン・パジェノー(#1)、ウィル・パワー(#12)と並び、ペンスキー勢は悔しい2-3-4-5フィニッシュとなった。

日本でのビクトリーツアーを終えて米国に戻ったインディ500ウイナー佐藤琢磨(#26 Andretti Autosport/ホンダ)にとっては、実に厳しいレースウイークだった。予選は20位。決勝でも中盤にコースオフ〜ストップを喫してフルコースコーションの原因となる場面があるなど苦戦が続き、1周遅れで完走を果たすも19位という結果に終わった。

佐藤琢磨のコメント
「苦しい週末になりましたね。土曜日の午前中のプラクティスで首を痛めました。グリッド後方からのスタートとなり、追い上げようとしたのですが、レース半ばでアクシデントに巻き込まれました。エンジンがストールし、再スタートができるかどうか心配でしたが、(シリーズ側の)セーフティクルーがエンジンを再始動してくれ、ピットに戻ってシートベルトを締め直し、レースを続行することができました。完走こそしましたが、本当はもっといい週末を送りたいと考えていました。でも、次のレース、アイオワに向けての準備は整っています」

これで琢磨はシリーズポイントランクをひとつ下げて4番手。このレースの前の時点では14点だった首位ディクソンとの差は56点へと大きく開き、優勝1回分(50点)以上のビハインドとなってしまった。残り7戦、最終戦がポイント2倍であることを含め、まだまだ悲観する差ではないが、勢いづきそうな強敵ディクソンを相手に、このまま中1週あるいは連戦での日程が続く7月が踏ん張りどころとなってくるかもしれない。

インディカー・シリーズ第11戦は現地7月9日決勝の日程で、オーバルコースのアイオワ・スピードウェイにて開催される。

ディクソンはポイント首位としてのリードを拡大した。《写真提供 INDYCAR》 今回は厳しい戦況が続いた佐藤琢磨。《写真提供 INDYCAR》 #26 佐藤琢磨の決勝リザルトは19位。《写真提供 INDYCAR》 #9 ディクソンはペンスキー勢4台を向こうにまわしての価値ある勝利を得た。《写真提供 INDYCAR》 決勝2位の#2 ニューガーデン。《写真提供 INDYCAR》 決勝3位の#3 カストロネベス(写真先頭)。《写真提供 INDYCAR》 左から2位ニューガーデン、優勝ディクソン、3位カストロネベス。《写真提供 INDYCAR》