軽快なフットワークでイメージ通りに車体を傾けられ、旋回中も思うがままにコントロールできる。この自由自在に操れるライディングフィールこそが『デューク』の真骨頂だ。
特に旋回力が高い。狙ったラインを外さないし、コーナリング中に欲張って、もっとバンク角を深くとってインへ入り込むことだってできてしまう。コーナリングを駆け抜ける歓びとは、これを言うのだろう。思わずヘルメットの中で頬が緩む。
最新型『690デューク/R』が搭載するニューエンジンは、693ccの排気量は同じながら102mm×84.5mmだったボア&ストロークを105mm×80mmへとショートストローク化し、当然ながらクランクもピストンも一新。SOHC4バルブのシングルエンジンはツインプラグ化されるなど全面刷新され、最高出力は「R」で75PS、スタンダードで73PSに達している。
パワーバンドがよりワイドになっていて、中高回転域でのパワフルさも増した。全域がトルクバンドだが、より力強いなのは6000回転からで、レブリミッターの効く9000回転まではまさに強烈だ。
上級仕様の「R」はフルアジャスタブルの前後サスペンションが備わり、動きが上質。リアショックはストローク量を15mmほど多い150mmとし、リア上がりの車体が旋回力をいっそう高めている。
さらに「R」では、マフラーをより軽量なアクラポビッチ製としているほか、後輪ロックを回避するMSR(モーター・スリップ・レギュレーション)や、コーナリングABS付きMSC(モーターサイクル用スタビリティコントロール)など1ランク上の先進的な電子制御デバイスを装備し、安全性がより高いのもセールスポイント。
何度も言うが、コーナリングはかつてないほどに楽しい!
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
【KTM 690デューク/R 試乗】コーナリングの楽しさに思わず頬が緩む…青木タカオ
2017年06月25日(日) 17時00分
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