スタイリングが示すとおり走りも過激だが、サーキットでの試乗であったからなのか、意外にもアクセルをどんどん開けていけ、獰猛すぎて手に負えないというわけでは決してない。
足まわりとエンジンのバランスがよく、軽快なハンドリングと、75度Vツインがもたらす最高出力177psのハイパワーを気持ちよく楽しめるのだ。
もちろんパワーは凄まじく、淡々と流しているだけで公道ではあり得ないハイスピードレンジに達してしまう。この強力なエンジンを市街地や荒れた路面で手懐けるのは容易ではないはずだが、ライドモードで「レイン」を選べば最高出力を130psにセーブし穏やかで扱いやすい。ライドモードは大いに役立つ。
スロットルレスポンスがよりシャープになったとともに伸びやかな回転フィーリングを得ているのは、新作の鍛造ピストンをはじめ、窒化クロムPVD処理のチタン製インテークバルブや厚さを3mm増したクランクシャフトコーンの採用によるもので、レゾネーターチャンバーの改良や吸気ファンネルの短縮化もこれに寄与している。
ボッシュ製の電子制御ユニットはアップデートされ、リーンアングルセンサーやコーナリングABSによって旋回時の安全性を向上。トラクションコントロールもライドモード同様に「スポーツ」「ストリート」「レイン」が選べ、さらに介入ゼロのオフにもできる。
ハードなライディングを実現する前後サスペンションは、強力なエンジンパワーに相応しいコシのある足まわりだが、滑らかにストロークし路面追従性に優れる点も言っておきたい。
スタイリングも刷新され、6つのLEDから構成されるヘッドライトが野獣のようなフロントマスクを演出。サイドフェアリングも前方に伸び、テールセクションはスリムでより跳ね上がったスタイルとなった。
そのルックス同様、アグレシッブな走りが新型『1290 SUPER DUKE R』の大きな魅力だ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
【KTM 1290 スーパーデュークR 試乗】凄まじいパワーをスタイリッシュな車体で気持ちよく楽しめる…青木タカオ
2017年06月23日(金) 12時00分
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