取り回しやすさや経済性などに優れるスーパーカブに、アウトドアイメージのスタイリングと装備を施したレジャーモデルが『クロスカブ』。日常での使い勝手と遊び心の融合が楽しいバイクで、2013年からホンダのラインナップに名を連ねている。
そのルーツはここにある、根強いファンを持つ“CT系”だ。CT系は北米からの要望に対応し、レジャーや狩猟、牧草地などでの使用に耐えられるよう1961年に生み出された。「ハンターカブ」と総称されることもあるが、それをモデル名にしているのは1962年式の『HUNTER CUB C105H』など一部。
今回試乗できたのは1964年製『90トレイルCT200』で、61年製『C100H』の発展型。排気量87ccのOHVエンジンを搭載し、走破性を高めるためにブロックタイヤを履き、さらにエンジンガードや大型リアキャリアを装着。マフラーもアップタイプとなり、レッグシールドは付かないのが特徴となっている。
そしてなんと言っても面白いのが、大小2枚(68丁と40丁)のリアスプロケットを標準装備し、用途や状況に応じてどちらか選べるようになっていることだ。
変速機は自動遠心クラッチの4段で、1速はローギヤードとなっていて急坂用だということが乗るとよくわかる。4速でも力強く、トルクフルな走りが味わえた。
さらにユニークなのがブレーキで、前輪側の操作は通常どおり右レバーだけだが、後輪側は左レバーと右足のペダルどちらでもOK。作業で左手がふさがっているときは右足で、ってことなのだ。
なお、いま新車で買える『クロスカブ』は空冷4ストロークOHC単気筒109ccエンジンを積み、ボディ同色のヘッドライトガードや可倒式ステップ、重い荷物も積める大型リアキャリアなどを装備。CT系のDNAをしっかり受け継いでいる。
協力:ホンダ(試乗)
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
【ホンダコレクションホール 歴代カブ試乗】ライフルを構えつつライド!?…ハンターカブ
2017年06月23日(金) 10時30分