加速は力強いし、航続可能距離も1回の充電で100kmに達するというから、これならシティコミューターとして充分に機能しそうだ。ボッシュの電動スクーターを、ドイツ・ボックスベルグにあるテストコースで試乗させてもらった。
もちろんボッシュはサプライヤーだから、この車両が発売されるわけではない。バイクメーカーらに供給しているインホイールモーターやバッテリーユニットなどを体感するための特別な試乗車だ。
同社では電気駆動装置の促進に力を入れており、毎年、eモビリティ関連の技術開発のために約4億ユーロ(約494億円)の投資をしている。そのほとんどはバッテリーの研究開発に充てられ、将来のバッテリーセル技術の研究も進めている。
そしてボッシュが開発した電動スクーターの実用性の高さは、すでに自国でシェアリングサービスを付帯させて証明している。
ドイツでは自動車大手が積極的にカーシェアリング事業に参入しているが、ボッシュは電動スクーターを用いた個人向けの移動サービス『Coup(クープ)』を2016年8月よりベルリンでスタートし、およそ200台を導入している。
特に若い世代は、自家用車を持つことの必要性をあまり感じなくなってきていて、モビリティに対するニーズは変化しつつある。カーシェアリングは日本でも普及したが、ボッシュのクープはその2輪版というわけだ。
利用者はスマートフォンのアプリを通じて、最寄りにある電動スクーターを検索し予約でき、スマートフォンでキーロックを解除する。シート下のトランクにヘルメットと2つの予備バッテリーも入っていて、手軽に利用できる。
トランクを開けたり走行を始めると、ブルトゥース経由で車体と接続したスマートフォンを通じて利用車両の動きが管理され、料金は30分3ユーロ(約373円)、あるいは1日20ユーロ(約2487円)のどちらかが選べる。もちろん利用者が再充電について心配する必要はない。
今回、感心したのは電動スクーターそのものの性能が高いことだけでなく、スマートフォンと連動させたシステムを構築し、サービスの運用にまで到らせたボッシュの総合力だ。
大都市では交通渋滞が多く駐車スペースも足りないため、パーソナルモビリティへのニーズが高まるのは目に見えている。
広大なボッシュのテストコースを電動スクーターでノンビリ走りながら、近い将来、東京でもスマートフォンで予約した電動スクーターで移動する日が来るかもしれないと想像してみると、なんだかワクワクしてきて仕方がない。
その前に、もしベルリンに行くことがあれば、ぜひいちどクープを利用してみたい。
協力:ボッシュ(技術説明会)
【独ボッシュ二輪技術説明会】スマホと電動スクーターが密に連携し、シェアサービスも200台規模で開始済み
2017年06月22日(木) 09時00分
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