1958年(昭和33年)スーパーカブC100《画像提供 ホンダモーターサイクルジャパン》

日本の経済発展を支え、多くのライダーから愛されているホンダ・スーパーカブ。その初代が発売されたのは1958年(昭和33年)のことで、その名は『スーパーカブC100』であった。

ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)内にあるホンダコレクションホールには、約350台もの二輪、四輪、汎用製品が展示されているが、もちろん『スーパーカブC100』も大切に所蔵されている。

今回なんと、エンジニアの手によって走行可能な状態にある貴重な車両を、試乗させていただく機会を得た。

エンジンは空冷4ストロークOHVで、排気量49cc、4.5馬力というスペック。小排気量は2ストロークエンジンの方がパワーが稼げるのは常識だったが「煙が出ない」「オイルの匂いが付かない」という優位性からお蕎麦屋さんの配達などに重宝された。

走ってみると、OHV2バルブ単気筒という教科書に出てきそうなシンプルなエンジン構造で動いていることを連想させる機械音と、独特の吸排気音がハーモニーとなって心地良い。

まもなく生産されて60年が経とうとしていると思えぬほど軽やかに走り、当たり前のことながらこの時点で現代のスーパーカブと同じような優れた面をほぼすべて持ち合わせているから驚く。

それは親しみやすいデザインであったり、ステップスルーの低床バックボーン式フレームによって女性でも気軽に乗れることであるほか、自動遠心クラッチによってクラッチレバー操作が不要であることなどたくさんある。

こんなにも走っていて楽しく、乗りやすく、操作が簡単なのだから、さぞかし画期的だったのだろう。発売と同時に爆発的な大ヒットとなり、翌年には早くも累計生産台数が20万台に迫ったというのだから歴史的な商品と言えよう。

そんなことを考えつつ走っていると、本田宗一郎の「世界へ」という魂が込められたスーパーカブ躍進の原点に触れることができて、なんだか嬉しくなってくる。

「オートバイって面白い!」

もう声は届かないかもしれないけれど、本田宗一郎にそう伝えたい。


協力:ホンダ(試乗)

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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