2017ルマン24時間レース《Photo:Kazuhisa Masuda/撮影 益田和久》

今年もサルトサーキットで行われたルマン24時間耐久レース。トップに立ったマシンが相次いてドラブルで脱落する前代未聞の波乱となり、一時は総合55番手まで後退したNo.2ポルシェ「919ハイブリッド」が大逆転で優勝を飾った。

例年とは違い、予選日から雨がほとんど降らず、気温30度に迫る暑いコンディションで始まった24時間レース。最高峰のLMP1-Hクラスはトヨタとポルシェの対決。スタート直後から2メーカーのマシンが入り乱れるハイペースでの展開となった。

そんな中、一番最初にトラブルに見舞われたのがティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ベルンドン・ハートレー組の2号車ポルシェ。3時間30分を経過したところでギアのトラブルが発生し、緊急ピットイン。約1時間に渡って修復作業が行われ、コースへ復帰するがトップから18周遅れの総合55番手まで後退。近年のLMP1は万が一クラッシュやトラブルに見舞われても、短時間で修復してしまうケースが多かったが、さすがに1時間のロスは大きく、優勝争いから完全に脱落したかに思われた。

ところが夜になると、トップ争いに異変が発生。開始から8時間45分を経過したところでNo.8トヨタ「TS050ハイブリッド」がピットイン。ハイブリッドシステムにトラブルを抱えていたようで、こちらは2時間近くに渡り修復作業を強いられトップから30周遅れに。さらにトヨタ勢に不運が続き、開始10時間を迎えるところでスタートからトップを快走していたNo.7トヨタTS050ハイブリッドがクラッチトラブルでストップ。その直後には、No.9トヨタTS050ハイブリッドも他クラスのマシンと接触した影響でタイヤがバースト。さらにマシン駆動部分にも深刻なダメージを負ってしまい、ピットから1km弱のところでマシンがストップ。2台ともリタイアに追い込まれた。

これにより、LMP1-Hクラスで唯一ノートラブルで周回を重ねられていたのは、No.1ポルシェ919ハイブリッドだけ。確実にポルシェ通算19回目の優勝を手にするべく、フルパワーを使わずに着実に周回を重ねていた。

しかし、ゴールまで4時間を切ったところで突然スローダウン。乗り込んでいたアンドレ・ロッテラーも必死にピットへ戻ろうと試みるが、ユノディエール途中でストップしリタイアを余儀なくされた。

これにより、LMP2クラスのNo.38ジャッキーチェンDCレーシングが総合トップに躍り出たが、序盤のトラブルによる後退を挽回するべく、追い上げてきていた2号車ポルシェが接近。この時点で2周差があったが、トップ奪還のチャンスが見えてくると、さらにペースアップ。残り1時間のところでついに逆転を果たした。

その後も、ペースを緩めることなく走行し、大逆転でトップチェッカー。ポルシェが通算19回目の優勝を獲得。またメンバーに加わっていたハートレーにとっては念願のルマン初優勝となった。

また8号車トヨタも、終盤にはファステストラップを記録するなど、今週末ライバルを圧倒していたパフォーマンスをフルに発揮。それでも、総合では表彰台圏内に届かず9番手でフィニッシュした。

毎年、数多くのドラマが生まれるルマン24時間レースだが、今年はLMP1-Hクラスにエントリーしていた5台全てに致命的なトラブルが発生するという前代未聞のサバイバルレースに。一度は総合優勝争いから脱落した2号車ポルシェが、大逆転で栄冠を勝ち取るという劇的な結末となった。

2017ルマン24時間レース《Photo:Kazuhisa Masuda/撮影 益田和久》 2017ルマン24時間レース《Photo:Kazuhisa Masuda/撮影 益田和久》 2017ルマン24時間レース《Photo:Kazuhisa Masuda/撮影 益田和久》 2017ルマン24時間レース《Photo:Kazuhisa Masuda/撮影 益田和久》 2017ルマン24時間レース《Photo:Kazuhisa Masuda/撮影 益田和久》