第9戦テキサスを制したウィル・パワー。《写真提供 INDYCAR》

現地10日、インディカー・シリーズ第9戦の決勝レースが米テキサス州のテキサス・モーター・スピードウェイで行なわれ、ウィル・パワーが今季2勝目を達成。佐藤琢磨は終盤に勝利が見える位置まで迫るも、クラッシュを喫して10位という最終リザルトだった。

シリーズ中間点となる第9戦テキサスは、日暮れに始まって次第にナイトレース化していく248周/約600kmのオーバル戦。予選ではホンダ勢がトップ8を占め、そのなかで佐藤琢磨(#26 Andretti Autosport/ホンダ)は8位につけた。

その琢磨を決勝序盤、予期せぬ不運が襲う。コース上でのクラッシュ発生によるこの日最初のフルコースコーション時、各車が最初のルーティンピットへ。当然、ピットレーンは大混雑となる。そこでジェームズ・ヒンチクリフ(#5 Schmidt Peterson Motorsports/ホンダ)が再発進直後に姿勢を乱してエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)に横からあたり、そのカストロネベスが琢磨にあたるという連鎖アクシデントが起きてしまったのだ。琢磨はフロントノーズ交換が必要になり、周回遅れに(ヒンチクリフにはペナルティが出る)。

しかし、琢磨は2度目のフルコースコーション時にトップ同一周回への復帰に成功。その後は17〜19番手あたりを走っていたが、レース中盤、8台ほどが絡むマルチクラッシュをかいくぐって、一気に7〜8番手まで浮上する。

赤旗中断からレース再開への隊列走行に参加できたのは、レースをスタートした22台の半分、11台となっていた。その後もさらにクラッシュがあるなどサバイバルな展開が続くなか、琢磨は順位を上げていき、ついにはトップバトルにも顔を出そうかというポジションへと到達した。

残り19周で迎えたイエローコーション明けのリスタート、首位はウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)、2番手スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)、そして3番手に琢磨。上位5〜6台の接近攻防が続いていき、琢磨は一時5番手あたりまで下がるも、再び上昇、残り5周というところでトップをうかがえる位置に上がった。

しかしそこでの接戦状況下、琢磨がコース内側の芝にタイヤを落として態勢を乱し、ディクソンらを巻き込むかたちでマルチクラッシュ発生となってしまう。レースはフルコースコーションとなり、そのままチェッカーフラッグ、パワーが今季2勝目を達成した。248周を走りきったのは6台のみで、琢磨は10位という最終結果だった(ディクソンは9位)。

佐藤琢磨のコメント
「残念ですね。レース後半、マシンの状態はとても良かったです。(最後は)不運な状況でした。前と右にマシンがいて、芝に(左側の)2輪を落としてボトムアウト、行き場所がありませんでした。全車がバトルし続けるエキサイティングなレースだったのは確かですが、こういうかたちで終わってしまったのは残念です」

優勝したパワーは、「とても接近した戦いだった。ディクソンとの(並走状態が続いたトップ)争いでは、彼がスタート/フィニッシュラインのところで僕の前に出ることが可能に見えていた。だから最後に自分がそうする(前に出る)ためにはどうするべきかを考えていたよ」と激闘を振り返った。結果的に最後は競うことなくチェッカーを迎えたとはいえ、ゴールで相手を鼻の差おさえる術を考えねばならないほどに緊迫した戦いだったのである。それを制して、パワーは4戦ぶりの今季2勝目をあげた。

2位はトニー・カナーン(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。彼はレース中盤のアクシデントの原因をつくったと見られており、少々後味の良くない2位となった。3位には終盤、琢磨と競り合う局面が多かった前年王者シモン・パジェノー(#1 Team Penske/シボレー)が入り、3連勝を狙っていたグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)が4位。

ポイントランキングではディクソンがランク首位を守って326点。ランク2位にはパジェノーが上がって313点、さらに琢磨が312点でランク3位に続いている。以下、カストロネベスが305点で4位、パワーが286点で5位、レイホールが283点で6位。

次戦はようやく中1週空いて、現地25日決勝のウィスコンシン州「ロードアメリカ」(常設コース)での第10戦というスケジュールになる。琢磨はこの間に“インディ500優勝凱旋帰国”をする予定で、13日に報道向けの会見、14日にはファンミーティングがそれぞれ都内で予定されている。

あらためて琢磨がインディ500制覇の快挙をどう振り返るのか、楽しみなところだ。そして残り8戦、チャンス充分なチャンピオン争いへの新たなスタートを切る意味でも、実りある凱旋帰国にしてほしい。

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