Hot Wheels デザイナー、Jun Imai(6月2日、東京おもちゃショー)《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》

米国発のミニカーブランド、Hot Wheels(ホットウィール)をデザインするひとり、Jun Imai(ジュン・イマイ)が来日。6月2日、東京ビッグサイトで行われている東京おもちゃショーでインタビューに応じ、自身のクルマ愛、ホットウィール考などを語った。

ジュン・イマイは、ホットウィールデザインチームのシニアマネージャーで、マテル社勤続13年目。カリフォルニア州パサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで自動車デザインを学び、クルマやホビーのデザインに興味を持ち、マテルに入社。これまでさまざまなホットウィールをつくりだしてきた彼に、「好きなクルマ」「最近手がけたホットウィールでイチオシ」といった話題を聞いてみた。

---:まず“Jun Imai”にとってクルマとは?

JI:ぼくにとってデザインそのもの。世の中にあるすべてのクルマたちにそのデザイン性を感じて、すごくエモーショナルで、ワクワクさせてくれるものだね。

---:小さなときに「カッコいいな!」と思ったクルマは?

JI:うん。2車種あったね。ランボルギーニ『カウンタック』に、ポルシェ『911』。小学生3年生のころかな、ロードサイドのポスターとかを見て、衝撃を受けたクルマだよね。

---:日本車で印象的なクルマは?

JI:当時のグループ5、シルエットフォーミュラと呼ばれる競技カテゴリで活躍した、日産『スカイライン』のスーパーシルエットだね。あの1台は、いまもずっと鮮烈に覚えているよ。

---:いま所有しているクルマは何?

JI:いまホビーカーとしては4台持ってるよ。ダットサン『260Z』(日産『フェアレディZ』S30型)やダットサン『510』ワゴン(日産『ブルーバード』510系)、1985年製のポルシェ『911』、トヨタ『ランドクルーザー』80系だね。この4台を手直ししながら乗ってるよ。ぼくにとってはファンカーだね。

---:日本車が多いね。

JI:そう。日本の古い車は大好きだよ。カッコいいクルマがいっぱいあった。いまも、日産『GT-R』とかいいよね。いま、欧州車だとアウディ『R4』とか『RS6』とか、スポーツカーが大好きだね。

---:じゃあ、ホットウィールの話題に。ホットウィールだけしかない特徴は?

JI:バラエティだよね。世界中のクルマがミニカーになっているし、架空のファンタジーカーもいっぱいある。日本メーカーのミニカーと違うのは、その動きや遊び方。もう、レールを飛び越えたり、跳ねたり、ぐるぐる回るし。走らせる楽しみがある。そこだよね。

---:ファンタジーカーとリアルモデルの2つがある。つくり方に違いはある?

JI:そこに違いはないんだ。どっちも、デザイナーが好きなクルマをデザインする。それだけ。イマジナリーカー(ファンタジーカー)は、想像力をフルに使って楽しんでつくる面白さがあるよね。

---:日本メーカーと違う「ここに注目して」という部分は?

JI:躍動感。実車に忠実という先に、いまにも動き出しそうという躍動感があるでしょ。これはほかのメーカーにはない。その重要な要素のひとつに、タイヤがある。ホットウィールのタイヤとホイールは、動きを感じさせる演出がほどこされている。

---:実際の仕事の流れを教えて。

JI:最初はペン画。デッサンして、それをパソコンに落とし込んで、タブレットで描いていく。3Dモデリングソフトを使ってね。

---:毎日の暮らしのなかで、違った視点はある?

JI:映るもの、感じるものすべてがデザインに活かされているよ。デザイナーって、つねにそういうものを探している生き物でしょ。ホットウィールのデザイナーとしての視点で面白いと思ったのは、ゴミ回収車だね。もし、ゴミ回収車をホットウィールで表現したら、どういうモデルになるかな、と!

---:じゃあ、タイヤがついている乗り物はすべてホットウィールのデザイン対象?

JI:タイヤがなくてもホットウィールにしたい。すべてがホットウィールに描けるよ!

---:最近の「これが力作」というモデルを教えて。

JI:イマジネーションカーの「Driftsta」だね。これは、スーパーシルエットからインスピレーションを受けたモデル。80年代のセダンのイメージをベースにした。当時のセダンってみんなカッコ悪いでしょ。そこに、ホットウィールらしさを加えて、オーバーフェンダー、エアロダイナミクス、フィニッシャー、ローダウン、攻撃性……、そのすべてを想像して「カッコいい」と思うカタチにデザインした。ネーミングもデザイナーが決めるんだよ。

---:「こんなクルマが実際にあったらいい」と思ってデザインするの?

JI:そりゃそうさ! あたかも、こうしたクルマが街なかを走っているように想像して、「こんなクルマが走っていたら楽しい!」と思いながらデザインしているんだ。

東京おもちゃショー2017では、3日にマテルブースでジュン・イマイのトークイベントや、「真っ白なホットウィールのミニカーにマーカーで色塗りをして自分オリジナルのデザインをつくろう!」と題したミニカーデザインチャレンジを実施。ジュン・イマイが「これは!」と想わせたデザインを描いた子どもたちにプレゼントを贈る。

また Hot Wheels ブースでは、レースシミュレーションゲーム「Forza Motorsport」に登場するクルマたちをモデル化したフォルツァモータースポーツアソート(11月発売)や、マツダ『サバンナRX3』や『ACURA NSX』をモデル化したカーカルチャーアソート(6月末発売)も先行展示され、来場者の注目を集めていた。

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