インディ500《撮影 重信直希》

30万の観客を集め、101回の歴史を誇り、360km/hオーバーで戦う世界最大、最古、最速の自動車レース……。それがインディアナポリス500だ。ついに、その頂点に日本人ドライバーが立つ日が訪れた。

現地時間28日、ポールポジションの9号車スコット・ディクソンのリードで200周、500マイルの戦いは始まった。37周目に5位スタートの29号車フェルナンド・アロンソが待望の首位に躍り出てスタンドを沸かす。負けじと26号車佐藤琢磨も65周目にレースリーダーとなり存在感を示す。

53周目、77号車ジェイ・ハワードのクラッシュにディクソンが巻き込まれるという波乱が起きた。ハワード車に乗り上げ、宙を舞ったディクソンは裏返しでインサイドのウォールの上に落ちるというスペクタクルなものだった。ディクソンのマシンはエンジンがちぎれ、モノコックだけになりながらもドライバーの無事に拍手が起こる。

その後もアクシデントは頻発し、イエローコーション11回、完走わずか19台という厳しいレースとなった。それでも同一ラップがなんと16台というハイレベルなレースでもあった。180周目には、アロンソのエンジンがブロー。ここまで果敢な挑戦を続けてきたアロンソのインディ500が終わった。

184周目、7台が絡むマルチクラッシュが発生。レースはラスト11周のスプリント・レースとなった。

8号車マックス・チルトンがリードし、佐藤琢磨が2番手、それに迫るのが3号車カストロネベスだった。カストロネベスは琢磨をパスし、194周目にはついにチルトンも攻略し、リーダーになる。カストロネベスがインディ500史上最多タイの4勝目を挙げるか? 場内はヒートアップする。3位にまで落ちた琢磨は、この時点で優勝については絶体絶命の状況に見えた。

しかし195周目、琢磨はチルトンを抜き、更にはターン4からカストロネベスに猛然とチャージを掛ける。ライン上でわずかに0.0328秒、琢磨が前に出た。残り5周、追いすがるカストロネベスを0.2011秒差で振り切り、佐藤琢磨が第101回インディアナポリス500のチャンピオンに輝いた。

写真先頭はアロンソ、2列目向かって左は佐藤琢磨、右はカナーン(インディ500)《撮影 重信直希》 佐藤琢磨、最後の給油(インディ500)《撮影 重信直希》 伝統の「勝利のミルク}を頭から被る琢磨(インディ500)《撮影 重信直希》 祝福のキスを受ける琢磨。(インディ500)《撮影 重信直希》