SF第2戦岡山のレース2を制した関口雄飛(左は星野一義監督)。《撮影 遠藤俊幸》

28日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第2戦が岡山国際サーキットで大会最終日を迎え、「レース2」を関口雄飛が制した。元祖日本一速い男にして“闘将”星野一義監督が率いるIMPULは今季初勝利。

レース1が行なわれた前日よりも暑くなった日曜日。まずは朝9時20分から、レース2のスターティンググリッドを決める予選が実施された。全19台参加のQ1で9台がノックアウトされ、トップ10がQ2に進出、そこでポールポジションを争う方式だ。

赤旗中断もあるなど波乱含みだったQ1を突破したのは9チーム10台。2台でQ2に進出したのは(1カー体制のチームもあるが)TOM'Sチームのみで、このあたりにも短いコースでの接戦助長状況が窺えるところ。そしてQ2を制したのは#2 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/エンジン=トヨタ)だった。「得意コース」を公言する岡山で、2015年王者が今季初ポールを獲得(タイムは1分13秒918)。

新人の#4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)が自己ベストの予選2位に続き、前日のポールシッターである#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)が3位。そして4位は前日優勝者の#36 A.ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)、5位には大物ルーキー#15 P.ガスリー(TEAM MUGEN/ホンダ)がつける。6位は#18 小林可夢偉(KCMG/トヨタ)。

レース2の決勝は午後2時25分にフォーメーションラップスタートで51周、約190kmの戦い。そして4輪タイヤ交換が義務づけとなる。こういったフォーマットの場合は1周目からタイヤ交換を消化するマシンも多く、レースは“ステイアウト組”と“早めピット消化組”に分かれてのタイムバトルとなることが予想されたわけだが、実際にレースはそういった流れになった。

“ステイアウト組“のトップはポール発進の#2 石浦、“早めピット組”の先頭は#19 関口。この両者は約30秒の空間を挟んで競ったが、状況は#19 関口優位に動いていく。#2 石浦は「ずっと100パーセントでプッシュしていましたが、少しずつ(#19 関口に対して)ラップタイムペースが欠けていることは分かっていました」と状況を振り返る。そして#2 石浦が34周目にタイヤ交換を終えると実質のトップは#19 関口、その差は約10秒。

その後セーフティカーが入るアクシデントがあって#19 関口のリードが消え、タイヤの状態がフレッシュな#2 石浦に逆転の可能性が出た。しかし、これも「ミスさえしなければ、仮にラップ1秒ペースが違っても(ここでは)絶対抜かれない」と語る#19 関口が凌ぎ切る。#2 石浦も「(距離を走ったタイヤの割には#19 関口の)ペースが速かったですね。悔しいけど、今日は完敗です」と相手を讃える。

#19 関口は前日のレース1でポール発進から2位に敗れた雪辱を果たす今季初優勝。昨年9月のスポーツランドSUGO戦での伝説的劇勝以来の勝利を飾った。「あの時はマシンももちろん速かったですけど、自分も100点満点というレースでした。今日はいいマシンといい作戦で、チームに勝たせてもらった感じが強いですね」と関口は話すが、1周目ピットインの最終判断は関口自身のコール。やはりチームとドライバー、両方の力が過不足なく合わさった結果の勝利だった。

チームIMPULを率いる星野監督も、「ピットアウト後の関口のあの速さ。まさに集中力とプロ根性だよね。それが今日の勝利を近づけた」と関口を絶賛。新人だった昨年は最終戦までシリーズタイトルを争う健闘を見せるも最後に大魚を逸した関口だが、再度の戴冠挑戦へ向け、もう一度希望が広がる勝利となった。

2位は#2 石浦、3位には#36 ロッテラーが入った。そして4位には予選15位だった新人の#7 F.ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)が決勝で好ペースと好レースを見せ、“都合11台抜き”を果たして初入賞している。

5位は#18可夢偉、6位に#4 山下。ここまでがトヨタ勢で、ホンダ最上位は7位の#15 ガスリーだった。#15 ガスリーもローゼンクヴィスト同様にSF初入賞。

8位にはガスリーの僚友で13年王者の#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)が続いた。山本は予選Q1でコースオフして最下位、19番グリッド発進からポイントをゲットしている。また、開幕戦優勝の#37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)は9番グリッドスタートから1周目にコースオフがあり、18位に終わった。

2大会3レースを終えて、まだ誰かが主導権を握ったとはいえない状態の今季SF。次戦は7月8〜9日の富士スピードウェイ戦。低速テクニカルの岡山からロングストレートが特徴の富士に舞台が移ることで、また新たな戦い模様が見られるかもしれない。

レース2優勝の#19 関口雄飛。《写真 TOYOTA》 ゴール後、健闘を讃え合う優勝の関口(左)と2位の石浦(右)。《撮影 遠藤俊幸》 左からレース2優勝の星野監督、2位石浦、優勝関口、3位ロッテラー。《撮影 遠藤俊幸》 レース2優勝の#19 関口雄飛。《撮影 遠藤俊幸》 レース2優勝の#19 関口雄飛。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝2位の#2 石浦。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝3位の#36 ロッテラー。《写真 TOYOTA》 レース2決勝4位の#7 ローゼンクヴィスト。《写真 TOYOTA》 レース2決勝4位の#7 ローゼンクヴィスト(15番グリッドから“11台抜き”)。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝5位の#18 可夢偉。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝5位の#18 可夢偉。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝6位の#4 山下。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝7位の#15 ガスリー。《撮影 遠藤俊幸》 レース2決勝8位の#16 山本(最後尾19番グリッドから“11台抜き”)。《撮影 遠藤俊幸》 近藤真彦監督率いるKONDOレーシングの新人2名(#3 キャシディと#4 山下)もよく健闘した岡山大会だった。《撮影 遠藤俊幸》