第2戦岡山、レース1の表彰式。左から2位関口雄飛、優勝の舘信秀監督とロッテラー、3位キャシディ。《撮影 遠藤俊幸》

27日、「土日個別2レース制」で実施される全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第2戦の「レース1」が岡山国際サーキットで行なわれ、アンドレ・ロッテラーが今季初優勝を飾った。TOM'Sチームは1レース制だった開幕戦鈴鹿に続く2連勝。

岡山大会の土曜日は朝のフリー走行&スタート練習から始まり、20分間の1セッション予選、そして30周(約110km)のショートバージョン決勝レースと、通常の土曜日よりも忙しいかたちでのスケジュール進行となった。天候は晴れと曇りを行ったり来たりといったところ、路面コンディションはドライ。

前日の金曜フリー走行は1〜2番手のタイム差が0.001秒、この日の朝のフリー走行では1000分の1秒まで同タイムという状況(3〜4番手)も発生するなど、1周が短いことが特徴のひとつである岡山では接戦傾向が強まるのと同時に、予選で混雑を回避することが難関となる。その予選本番、うまく空間を取ってアタックを決めたのが#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/エンジンはトヨタ)だ。

#19 関口は後続にコンマ5秒以上の大きな差をつける1分13秒387で今季初ポールを獲得、クリアに走れたことに加えて「いいクルマを用意してくれたチームに感謝です」。予選2位は#36 A.ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)、3位には今季新人のひとり #3 N.キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)がつけた。

決勝は原則ノーピットの“行ったきり短距離戦”。スタートと序盤のもみ合い以外でのポジションアップは難しいレースになる。そしてレースは実際そういった流れとなり、優勝争いもスタートで決することに。

ポールの#19関口が「出遅れてしまいました」というスタートだったのに対し、いいスタートを切ったのが2番グリッドの#36 ロッテラー。ここで先頭を奪った#36 ロッテラーはそのまま30周を走りきって今季初勝利、TOM'Sチームとしては開幕戦の#37 中嶋一貴に続く2連勝となった(#37 一貴はこのレース9位)。

#36 ロッテラーの勝利は2015年最終戦鈴鹿のレース1以来で、通算24勝目(現役最多)。「スタートが最大の勝機であり、それをものにできたことが勝利をもたらした、そういうレースだったね。1シーズン以上という長いあいだ優勝がなかっただけに、今日ここで久々に勝てたことはもちろん嬉しい。マシンの感触も良かった」と、2番グリッドからの完璧な“スタート・トゥ・フィニッシュ”を振り返った。

ただ、完勝ではあったが後方 #19 関口とのギャップをコントロールするのは「見た目の展開ほど簡単ではなかった」とも語り、強敵相手の濃密な内容ある勝利だった旨をロッテラーは強調。ルマン24時間レース通算3勝等の実績を誇る世界的名手が、充実感とともに2011年以来2度目のSF王座獲得に向けて確かな一歩を踏み出した。

2位は#19 関口。彼は悔しそうに「抜くのはほぼ無理だと思っていましたけど、精一杯頑張りました。でもやっぱりダメでした。今日(のコースとレースフォーマットで)は、30周でも5周でも100周でも結果は同じだったように思います」とも語ったが、これはこの日のレース展開全般を象徴するコメント。中身の濃さが外には見えづらい展開だった。

3位には予選順位通り、新人 #3 キャシディが入ってSF初表彰台を獲得。4〜8位の入賞者は以下の通り。

4位 #18 小林可夢偉(KCMG/トヨタ)
5位 #16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)
6位 #20 J.マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)
7位 #4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)
8位 #2 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)

4位の#18 可夢偉は7番グリッドから、そして5位の#16 山本は9番グリッドから1周目にそれぞれポジションを上げ、そのままの順位に入賞している。6位の#20 マーデンボローと7位の#4 山下は新人。3位の#3 キャシディを含めて新人3人が2レース目で初入賞を果たした。また、やはり新人の #7 F.ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)が12位ながら、決勝ファステストラップをマーク。

新人躍進が目立つ一方、注目度最大ルーキーである#15 P.ガスリー(TEAM MUGEN/ホンダ)は苦境に直面中だ。予選では無線トラブルも影響したようで、タイヤを完璧な状態にウォームアップしてのアタックができず13位。決勝でも序盤に他車との交錯が相次いでマシン破損、緊急ピットインして最終結果は1周遅れの最下位19位だった。レース中には翌日に向けての“試し”をしていると見られる状況もあったので、そういったことを糧にして彼も新人台頭の波に乗ることを期待したいところだ。

明日(28日)は「レース2」の予選&決勝が行なわれる。2段階ノックアウト式の予選は9時20分開始予定、そしてドライ時には4輪タイヤ交換義務がある51周/約190kmの決勝レースは14時25分にフォーメーションラップスタートとなる。

レース1を制した#36 ロッテラー。《撮影 遠藤俊幸》 #36 ロッテラーは2番グリッド発進だった。《撮影 遠藤俊幸》 パルクフェルメでTVの優勝インタビューを受けるロッテラー。《撮影 遠藤俊幸》 左からレース1優勝の舘信秀監督、2位関口雄飛、優勝ロッテラー、3位キャシディ。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝2位、#19 関口雄飛。《撮影 遠藤俊幸》 #19 関口はポール発進だった。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝3位、#3 キャシディ。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝4位、#16 山本尚貴。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝5位、#18 小林可夢偉。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝6位、#20 マーデンボロー。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝7位、#4 山下健太。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝8位、#2 石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝ファステストラップをマークした #7 ローセンクヴィスト。《撮影 遠藤俊幸》 レース1の決勝9位、#37 中嶋一貴。《撮影 遠藤俊幸》 #15 ガスリーは翌日のレース2で巻き返しを狙う。《撮影 遠藤俊幸》