傘、傘、傘……。《撮影 高木啓》

阪急電鉄(杉山健博社長)が6月1日から、駅や電車で拾われた傘の保管期間を2週間に短縮する。保管期間が切れたものは処分する。

梅田駅茶屋町口改札内「阪急電鉄お忘れ物センター」に各駅から集められる忘れ物は昨年度約23万件。このうち約4万件が傘だった。拾得物の持ち主への返却率は15%しかない。

同社の場合、忘れ物センターに集められた通常の忘れ物は、約3日後に曽根崎警察著に移管され、その後3か月保管される。傘や衣類などの一部物品については、警察署に代わり同社センターで3か月間保管していた。こうした取り扱いは、JR西日本など多くの鉄道事業者でも踏襲されてきたが、かわりつつある。

同社の場合「スペースは極めて手狭となり、また、 その移管先の警察署における保管スペースの逼迫状況はより深刻な問題」(阪急電鉄)だった。そこで同社が注目したのが、遺失物の取扱いにおける例外規定だ。

遺失物の取扱を定める遺失物では、公共交通機関や大型店舗などのうち、届出が多数あり、適切に保管できる事業者について、特例施設占有者としての指定を受けた後であれば、警察の公告開始から2週間以内に落とし主が見つからな傘などの物品は、処分できるという規定がある。

阪急電鉄は、この取扱いを大阪府警と協議。運用を開始することになった。6月1日から傘について、保管期間2週間で処分することを決めた。

ビニール傘など使い捨てられる傾向が強くなって以来、警察もこうした取り扱いに前向きだ。今後も同様の取扱いに変更する鉄道事業者が出てくるとみられる。