日立金属は5月25日、自動車エンジン向けステンレス鋼ピストンリング材について、日本および中国での増産体制を確立し、グローバル供給体制を強化すると発表した。

ピストンリングには、ステンレス鋼以外に鋳鉄やシリコンクロム鋼、炭素鋼などが材料として取り扱われているが、近年、燃費向上や環境規制を背景に、高強度で耐摩耗性のあるステンレス鋼のピストンリングが注目を集めている。欧州や中国・アジアを中心とする海外市場では、ステンレス鋼ピストンリングの取り扱いが活発に進んでおり、需要も高まっている。

日立金属は、持続的な成長が期待できる自動車関連分野の強化を目的に、新たに国内の安来工場、中国の製造拠点である日立金属(蘇州)科技有限公司に総額25億円規模の投資を行い、グローバル増産体制を強化する。増設する製造ラインは、ピストンリング材をはじめ、幅広い分野に使用できる設備となる。中間工程にあたる熱処理炉に独自技術を取り入れることで、品質向上やリードタイムの短縮を図っている。