日立オートモティブシステムズ(ウェブサイト)

日立オートモティブシステムズは5月24日、次世代高速車載ネットワークの通信方式として期待されるCAN FDの課題だった、データ通信信号を劣化させるリンギング現象を低減する技術を開発したと発表した。

電動車両の普及や運転支援機能の充実により、搭載される電子機器は増加傾向にあり、車載ネットワーク上のECU(電子制御ユニット)間で行われるデータ通信量も増加。現在、車載ネットワークのデータ通信方式として、CANが広く用いられているが、データ通信速度が500Kbps程度で、高度化が見込まれる運転支援システムや自動運転車両などの制御には限界があるといわれている。

CANを改良したCAN FDは、最大8Mbpsでデータ通信可能で、次世代車載ネットワークのデータ通信方式として期待されているが、データ通信の高速化に伴い、信号の品質を劣化させるリンギングといわれる現象が課題となっている。

データ通信はECU間でデータを電気信号に変換して行われるが、ネットワーク上にはインピーダンスが違うところがあり、そこでは電気信号が反射し、反射ノイズが発生。それにより信号が歪み、信号の品質が劣化する現象がリンギングだ。CANのデータ通信速度である500Kbps程度では、データ通信が困難になることはなかったが、CAN FDでデータ通信速度が高速になると、リンギングの影響によりデータ通信が正しくできなくなり、対策が求められていた。

日立オートモティブシステムズでは、リンギングを低減するため、通信速度に応じ最適な経路で電気信号を送信する独自の技術、中継回路方式を開発した。通信速度の速い電気信号と遅い信号を別の経路で送信できるように、中継回路でネットワークの構成を切り変えることで、反射ノイズの影響を抑制し、リンギングを従来方式より約37%低減。CAN FDによる車載ネットワークのデータ通信を、より高速なものとすることに成功した。

同社では今回開発したリンギング低減技術の開発を進め、2020年以降の実用化をめざす。