超低フリクションシール付玉軸受

NTNは5月24日、従来の接触タイプシールより回転トルクを80%低減したトランスミッション用「超低フリクションシール付玉軸受」を開発したと発表した。

自動車の省燃費化に伴い、トランスミッション用軸受には、長寿命に加え、さらなる低トルク化が求められている。また、ギアの摩耗粉など、硬質異物の軸受侵入による軸受寿命の低下を抑制するため、従来は接触タイプシールの適用が標準的だったが、シール部が軸受内輪に接触することで、回転時に引き摺りトルクが発生する課題があった。さらに、近年のEVやHEVといった高速回転が必要とされる用途では、シール部の周速限界の制約により、接触タイプシールの適用は困難だった。

今回開発した超低フリクションシール付玉軸受は、シールリップのすべり接触部に円弧状(半円筒状)の微小突起を等間隔に設けた新開発の接触タイプシールを採用することで、回転トルクを従来品比で80%低減。非接触タイプシールに匹敵する低トルク効果を実現した。回転時には、微小突起によるくさび膜効果によって、シールと内輪の摺動面の間に油膜が形成され、接触タイプシールでありながら、シールの引き摺りトルクを大幅に低減。さらに、シールリップの突起は微小なため、潤滑油を通しても軸受に有害な硬質異物の侵入は防ぐことができ、軸受寿命も確保している。

開発品の断面図 トルク測定結果