島津製作所の小型プローブ(左)と小型プローブ先端の検出部分(右)

島津製作所は5月22日、パシフィコ横浜で5月24日から26日まで開催される自動車技術展、「人とくるまのテクノロジー展2017」の出展内容を明らかにした。

同社は人とくるまのテクノロジー展2017において、光ファイバーや光学素子で構成される新開発の小型プローブ(探針)を直接エンジン内部に挿入し、稼働するエンジンのシリンダー内の温度とCO2濃度を高速かつ同時に計測する新技術を初公開する予定。

この技術の実用化により、自動車用エンジンや産業用エンジンの開発現場で広く普及しているモデルベース開発(シミュレーションに基づく設計手法)において、エンジンモデルの精度が高まる。そして、制御の最適化や改良設計の効率化のほか、燃費性能や排ガス性能の向上へ貢献することが期待できるという。

自動車などのエンジンには、空気と燃料をシリンダー内で燃焼させてピストンに動力を伝える内燃機関が使用されることが一般的。この燃焼の効率や状態が最終的なエンジンの出力性能や燃費性能、排ガス性能に大きく影響することから、エンジンメーカーには、シリンダー内で燃焼が発生するまでの温度や、排ガスとしてシリンダー内に残留するCO2の濃度をモニタリングしたいというニーズがある。

しかし、量産型のエンジンにも適用できる実用的な構成でシリンダー内の温度とCO2濃度をリアルタイムかつ同時に計測することは困難。シミュレーションモデルの妥当性を検証するためにも、直接的な計測を行いたいという要望が高まっていた。

同社の新技術は、小型プローブの先端に備える直径5mmの検出部分をシリンダーへ10mm挿入し、検出部分に複数のレーザ光を通過させることで、シリンダーに流れる気体中の水分とCO2の吸光度から温度とCO2濃度を算出。容易に挿入できる単一の小型プローブで温度とCO2濃度それぞれを最短50万分の1秒周期で計測可能なため、燃焼に重要な影響を及ぼす圧縮行程での経時的変化もありのままに捉えることができる。

同社は、「2018年度内にこの技術を製品化し、自動車用エンジンメーカーや産業用エンジンメーカーへ展開することを計画している」とコメントしている。