ポール発進の#25 VivaC 86 MCと予選2位の#61 BRZが接戦を展開、#25が勝利をおさめる(写真はスタート)。《撮影 益田和久》

21日、SUPER GT第3戦オートポリスのGT300クラスでは、VivaC 86 MCとSUBARU BRZ R&D SPORTが熾烈な優勝争いを展開。最後は0.091秒という僅少差で、松井孝允&山下健太のVivaC 86 MCが今季初優勝を達成している。

予選でポールポジションを獲得した#25 VivaC 86 MC(松井孝允&山下健太/タイヤはヨコハマ=YH)と2番グリッドを獲得した#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/ダンロップ=DL)、決勝はこの2台による迫真の一騎打ちとなった。

途中、ルーティンピットストップで左側のタイヤ2本交換という作戦を採った#55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一&S.ウォーキンショー/ブリヂストン=BS)がピットで首位を奪う格好にはなったが、この#55 BMWの作戦も3位争いを意識してのものであり、今回はやはりトータル的なパフォーマンスで#25 VivaC 86 MCと#61 BRZが抜け出ていたようだ。

最終周まで続いた接戦、最後はコンマ1秒を切る0.091秒差でのゴールとなり、#25 VivaC 86 MCが今季初優勝。実は「燃料ポンプのトラブルが出ていたんです」(松井)という状況だったが、「自分のマシンのコンディションも考えながら」走って、松井は#61 BRZから逃げきった。

#25 VivaC 86 MCは昨季、土屋武士と松井のコンビでチャンピオンを獲得。今季は土屋がドライバーから退き、従来も兼務していたエンジニアに集中(監督にも就任)。昨季全日本F3チャンピオンの山下を新たなドライバーとして迎え入れるなど、チームは他にも様々な意味で新体制となった。

そして達成した今季初勝利。松井は前日のポール獲得、そしてこの日の勝利に関しても「準備がしっかりできていた」ことを勝因として繰り返し強調した。

ジャンルを問わず、準備の大切さを本当の意味で理解して実行できたらアスリートは真の一流。接戦の勝利ではあるが、松井と山下、そしてチームがその域に到達したと思わせる好内容だったといえるのではないか。今のGT300で独走は至難。山下は「今日はドライバーもチームも、ギリギリのところで(他より)うまくいったのかな、と思います」と語るが、まさにそれが強さの証明でもあった

「55号車にはタイヤ交換の時間(本数)で前に出られましたが、抜ける自信がありました。今日はBRZとの戦いになることも分かっていました」(松井)。読みも正確だった。だからしっかり準備もできる、という図式だろう。昨季王者陣営は今季、新体制でさらなる飛躍を遂げそうだ。

2位は#61 BRZ。3位には#55 BMWが入り、これはマザーシャシー(MC)使用マシンを含むJAF-GT規定車が今回は優位と見られていたなか、FIA-GT3勢最上位となる健闘であった。4位もBMW M6で、#7 Studie BMW M6(J.ミューラー&荒聖治/YH)。

5〜6位には今季ウイナーの2台が続く結果となっている。開幕ウイナーの#4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝&片岡龍也/YH)が5位、前戦勝者の#51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一&坪井翔/BS)が6位。

次戦は約2カ月のインターバルを挟み、7月22〜23日の宮城県・スポーツランドSUGO戦となる。GT300クラスからは今季4組目のウイナーが生まれるのか、それとも今季最初の2勝目を達成する陣営が出るのか。引き続き注目されるところだ。

優勝を飾った#25 VivaC 86 MC。《撮影 益田和久》 GT300クラスの表彰式、中央左が松井、右が山下。《撮影 益田和久》 ポール発進の#25 VivaC 86 MC。《撮影 遠藤俊幸》 2番グリッド発進の#61 スバルBRZ。《撮影 遠藤俊幸》 決勝2位の#61 スバルBRZ。《撮影 益田和久》 決勝3位の#55 BMW M6。《撮影 益田和久》 決勝4位の#7 BMW M6。《撮影 益田和久》 決勝5位の#4 メルセデス。《撮影 益田和久》 決勝6位の#51 レクサスRC F。《撮影 益田和久》 2季ぶりのSUPER GTオートポリス開催が実現。《撮影 益田和久》 2季ぶりのSUPER GTオートポリス開催が実現。《撮影 遠藤俊幸》 ゴール直後の優勝車#25 VivaC 86 MC。《撮影 遠藤俊幸》 優勝した山下(左)と松井。《撮影 遠藤俊幸》