トヨタ自動車 豊田章男 社長《撮影 小松哲也》

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2017年5月11日付

●トヨタ5年ぶり減収減益、円高影響、18年3月期も減益予想(読売・1面)

●ソフトバンク最終益1兆円庁、トヨタに次ぎ2社目(読売・8面)

●タカタ3期連続赤字(読売・8面)

●運転手に残業月246時間、関東西部運輸と社長を書類送検、労基法違反の疑い(東京・27面)

●電動トラック充電設備250拠点、三菱ふそうが設置(日経・17面)

●銘柄診断、三菱自、一時10%高、年初来高値、今期業績、V字回復期待(日経・22面)

●ガソリン、下落は小幅、GWの店頭価格、車利用増加で(日経・25面)


ひとくちコメント

トヨタ自動車が発表した2017年3月期の連結決算は、売上高が前の期に比べて3%減の27兆5971億円、純利益は21%減の1兆8311億円で5年ぶりの減収減益となった。とにかく、人の前では白い歯をみせて笑顔を絶やさない豊田章男社長でも、さすがに、2期連続の“連敗”予想ではいつものような「笑顔」は見られなかった。

きょうの各紙にはトヨタの決算の解説記事として「為替の追い風も向かい風も無い中で、まさに現在の等身大の実力が素直にあらわれた」との豊田社長の発言とともに、口を真一文字に結んだ厳しめの表情の顔写真を取り上げている。が、それでも、過去に赤字転落や大量リコール問題などの時の辛い気持ちを抑えた不自然な表情から比べると、厳しさの中にも余裕や自信を感じとることができる。

ただ、間もなく社長在任9年目に入る豊田社長だが、読売は「トヨタ挽回へ課題多く」とのタイトルで「為替相場の動向も見通しにくく、主力市場の北米や日本での販売増は見込めない。米トランプ政権の政策など不透明要因も多い」と指摘する。

また、日経は2期連続の減益見通しは「為替レートを1ドル=105円と保守的に想定した要因は大きい」としながらも「4年連続で1兆円を超える研究開発投資と設備投資をつぎ込む姿勢に未来への危機感を色濃く映る」と伝えている。

そんな中、決算発表の話題では通信大手のソフトバンクグループの2017年3月期決算で、最終利益が初めて1兆円を超え、1兆4263億円だったという。日本の企業では、金融取引の三菱UFJファイナンシャルグループを除くと、事業会社として純利益の1兆円超えはトヨタに次ぐ2社目だそうだ。

孫正義社長は「あくまで通過点にすぎない。トヨタは67年かかったが、われわれは36年で到達した」と述べたそうだ。1兆(丁)、2兆と豆腐を数えるような感覚で大胆なM&A戦略などを打ち出すソフトバンクとコツコツと収益を積み上げるトヨタとの経営手法は大きな違いがある。ただ、未来を見据えて賢く時流に乗る経営のセンスと心意気は孫社長から学ぶ点も多いようだ。

三菱ふそうが設置したEVパワーチャージャー(川崎市)《撮影:阿部哲也》