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「Brighter Energy Alliance」(ブライターエナジーアライアンス)という新たなアライアンス(協働事業)を9日、立ち上げた出光興産と昭和シェル石油。いかにその先に見据える統合が重要か。語り続けたのは、むしろ昭和シェルのほうだった。

「経営統合推進の原動力は事業環境の変化に対する危機感。統合は延期されたが、事業環境の変化は、3年前から何一つ変わっていなし、環境の変化は待ってくれない」

同社常務執行役員の渡辺宏氏は、「ちょっと長くなりますが」と前置きして、5分以上もその危機感を語り続けた。

「国内内需の減退。過去10年で日本の石油製品は約23%減少。数量にすると5500万キロリットル。この規模は、当社と出光さんが国内で販売する量に匹敵する。10年で2社分の国内数量がなくなったというところ。これはまだ続いていて2030年末には20〜30%減るという想定もある」

しかし、国内で伸び悩む一方、海外ではまったく逆の展開が予想される。

「アジアに目を向けると、石油はまだ成長産業。2030年までにOECDを除くアジアの需要は30〜40%増える見通しもある。アジアの石油製品の品質の規格は統合されコモディティ化が進み、アジア域内の輸出入は盛んになる。我々が日本に供給を安定して続けていくためには、アジアの石油会社と戦っていかなければならない」

そんな環境で、両者の経営陣が懸念するのは、低い収益力だ。

「ある調査では日本の石油精製業は、この2000年から累計5000億円ほどコスト削減したというが、残念ながら利益率が改善したということは聞かない。売上高/営業利益率の観点でいうと、日本は3〜4%。我々がベンチマークしている韓国は8%台。半分くらいの収益率しかない我々はない。こういう状況ではアジアの中で勝っていくことはできない」

その当然の帰結が経営統合。それが叶わない現状では「できるところからやっていく」というアライアンスだった。それは経営統合ができないことに対する株主へのプレッシャーではないか。そんな会見での質問にも、渡辺氏はこう答えた。

「そもそもこの経営統合を進めていこうとする危機感は、何一つ変わっていない。できることからやっていくことが正しい選択だと思っている。経営を預かる身としては、当然やるべきことはやっていく」

経営統合のシナジーについて、両社は5年以内に年間約500億円と想定する。そのうち今回のアライアンスで3年以内に年間約250億円を達成するのが目標だ。そこに逃げはないのか。出光興産の丹生谷晋取締役が答えた。

「3年間統合できなくて250億さえ達成できればいいとは、ゆめゆめ考えていない。250億はコミットだが、けして充分ではない。500億以上のシナジーを早く刈り取っていかないと、この業界で勝ち残っていくことは難しい」