ダイハツの三井社長とミライース新型《撮影 池原照雄》

ダイハツ工業は5月9日、軽自動車『ミライース』を初代の登場から5年8か月ぶりに全面改良して同日発売した。燃費性能はもっとも良いタイプで35.2km/リットル(JC08モード)と、従来モデルと同一を確保。しかし軽で最高のスズキ『アルト』の37.0km/リットルには届かず、先進の安全性能など総合力を訴求していく。

価格は84万円台から133万円台までで、月間9000台の販売を計画している。燃費性能の維持は、軽量高剛性のボディー「Dモノコック」の採用により、従来モデル比で最大80kgとなった軽量化などで実現した。同ボディーではフロントフェンダーなどに樹脂を採用する一方、高張力鋼板の採用拡大も図っている。

安全装備では、小型ステレオカメラによる「スマートアシストIII」を新たに採用し、一部グレードを除いて標準搭載した。車両だけでなく歩行者にも対応した衝突回避支援ブレーキをはじめ、車線逸脱警報、誤発進抑制制御、夜間の視界を自動操作で高めるオートハイビームなど多くの機能をもたせている。

11年9月に発売した初代のミライースは、軽自動車としては初めて燃費を30km/リットルに乗せ、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)ではない「第3のエコカー」として訴求してきた。環境性能や経済性能などを徹底追求した同社の技術群の呼称「e:S(イース)テクノロジー」を車名に採用した。

都内の発表会で三井正則社長は新型車について「ダイハツのアイデンティティを凝縮したのがミライース。第3のエコカーを進化させた"新みんなのエコカー"として開発した」とアピールした。

また、新型車は同社が進める次世代の開発手法である「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の原点を確立するモデル」と位置付けていると指摘。今後、軽自動車や小型車に展開するDNGAによって「いつでも、誰でも気軽に乗れる軽自動車を起点としたスモールカー造りの事業構造を構築していきたい」と語った。

ミライース新型《撮影 池原照雄》 ミライース新型《撮影 高木啓》