MINI クーパーD クロスオーバー《撮影 諸星陽一》

2001年からスタートしたBMWの手によるモダン・ミニは、熟成を重ねるとともにモデルバリエーションを拡大してきた。

なかでもクロスオーバーはSUV(BMWではSUVのことをSAV=スポーツ・アクティブティ・ビークルと呼ぶが)という位置づけで作られたモデルでサイズも大きく、使い勝手がいいということで人気を博した。そうした背景を持ちながらモデルチェンジされた新型クロスオーバーはさらにボディサイズを拡大。全幅は1820mmとBMW『3シリーズ』の1800mmよりも広く、全長も4315mmと先代よりも195mm延長、全高も45mm高い1595mmとなっている。

試乗車に近づいていくとまずその佇まいからミニの大きさを実感する。というのもミニはもともと非常にかたまり感を感じるタイプのシルエットを持っている。そのミニがさらに大きくなったのだから、大きさを感じてもしかたない。かつては小さいクルマを象徴する“ミニ”という車名だったが、今や“ミニ”はかつてのスタイリングを継承する符号でしかない。

試乗車はもっともベーシックなモデルとなる「クーパーD」。搭載されるエンジンは2リットル4気筒のディーゼルターボで、最高出力は150馬力、最大トルクは330Nm。ミッションは8速ATで、駆動方式はFF。エンジンは低速からしっかりトルクを出すタイプで、アクセルペダルをちょっと踏めば、グングン加速していく。ATの変速感もスムーズ。

ただ、このスムーズな加速感もオプションのミニドライビングモードが、ミッドもしくはエコとなっている場合のみ。スポーツモードにするとスムーズを通り越てピックアップのよさが目立ちすぎ、アクセル操作に対する反応がセンシティブになりすぎてしまう。また、スポーツモードの場合はステアリングの制御系もよりシャープな特性となり、ミニの持ち味であるゴーカートフィーリングが際立ち、ちょっと扱いにくくなる。

ボディサイズを拡大した今回のクロスオーバーは、実用的な使い勝手がさらに向上している。とくにリヤシートの広さは、高い天井高と垂直に近い配置のドアパネルによって、ゆったりしたもの。ラゲッジスペースは先代モデルにくらべて100リットルも拡大された450リットル。もちろんリヤシートは4対2対4分割でフォールディング可能。1台で全てをまかないたい人にはぴったりと言える。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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