スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ《撮影 諸星陽一》

「いつものワゴンR」である。背が高くなったわけでもない。フロントウィンドーが直角に立ったり、背がものすごく高くなって室内空間を稼いでいるわけでもない。なのに、やたら前方がよく見える。視野が広がった感じがするのだ。

運転席の座面が高くなったのか? 改めて乗り降りしてみるけれど、これまでの『ワゴンR』独特の座面の高さ、乗り降りのしやすさだ。なのに、前方の景色の見渡しやすさはいったいなんだろう? 三角窓が作られたせいもある。窓枠やサイドミラー部分で隠れがちなナナメ下方の視界を確保するための窓だ。でも、それだけじゃない。そして気づく。ダッシュボードが低いのだ。だから、やたら視野が広くなっているのだ。

インパネは、大胆にこれでもかと水平を基調としたデザインである。スイッチ類を中央にうまくまとめてすっきりしている。このデザインにより、インパネ全体の厚みを抑え、ゆえにダッシュボードの位置を下げることに成功したというわけだ。前が見やすいことの安心感と気持ちよさは格別である。

さらに、フロントウィンドーの面積を大きく使えることで、速度計をウィンドーに表示するヘッドアップディスプレイも、前方視界の邪魔になることなく、ゆとりをもって見ることができる。しかも、速度だけでなく、いま、何速にはいっているかギアの位置も表示してくれるので、R、N、Dの入れ間違い防止にも一役買ってくれている。

室内の使いやすさや質感は、軽自動車の競争ポイントだが、その点、いつも置き場所に困っていた傘を、後部ドアにタテにおけるところが面白い。しかも、もともとあるボディの水抜き穴があるため、雨のしたたりがたまることもないという。カーナビ画面の下には、いまやお約束のUSBのジャックもある。乗りやすく使いやすい、まさに普段の友なのである。

■ 5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

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