フェニックス戦を制したのは前年王者#1 パジェノー。《写真提供 INDYCAR》

インディカー・シリーズ第4戦の決勝レースが現地29日、米アリゾナ州のフェニックスで実施され、昨季シリーズ王者のシモン・パジェノーが今季初優勝、オーバル戦での自身初勝利を飾った。佐藤琢磨はレース中盤にクラッシュを喫し、16位。

前戦アラバマで名門チームのペンスキー(Penske)が示した支配体制の構図は、今季最初のオーバルコースに戦いの舞台が移っても変化しなかった。フェニックス・インターナショナル・レースウェイでもペンスキー勢の4台は予選から上位ほぼ独占の流れで戦いを進めていく。

徐々にナイトレース化していく決勝は、いきなりホンダ勢ばかり5台が戦線離脱する多重アクシデントが中団〜後方に発生して始まるが、その後は概ね平穏な展開に。ペンスキー勢は最終的に1-2-4フィニッシュを果たし、1周が短いコースとはいえ、5位以下が周回遅れとなった。

優勝を飾ったのは昨年のチャンピオン、フランス出身32歳のシモン・パジェノー(#1 Team Penske/シボレー)。今季初優勝が、オーバルコースでの自身初優勝となった。

シモン・パジェノーのコメント
「この勝利に自分がどれだけエキサイトしているか、表現できないくらいだよ。カートから主にヨーロッパのレース界で育った自分にとって、オーバルは(これまでは)得意とはいえなかった。26歳の時から学び始めたわけだからね。信じられないくらい素晴らしい勝利だ。マシンも最初から最後まで素晴らしく速かったし、チームクルーもミスなく作業をしてくれた」

これでパジェノーはポイント首位に浮上。ついにオーバルを制したことは、タイトル2連覇へ向けて好材料といえるだろう。また、ショートオーバルとビッグオーバルの違いはあるが、シリーズ最高の大舞台「インディ500」初制覇への期待も膨らんできた。

このレースの2位はウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)。3位にはペンスキーの牙城を切り崩す格好で、今回よく健闘したJR・ヒルデブランド(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)が入っている。

4位はポール発進だったエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)。ホンダ勢最上位は5位のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)だった。6位はトニー・カナーン(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。前戦ウイナーのジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)は今回9位。

佐藤琢磨(#26 Andretti Autosport/ホンダ)は予選18位から、決勝でも浮上の兆しが感じられない展開に終始。レース中盤にクラッシュを喫してフェニックス戦を終えることとなってしまった(リザルトは16位)。

佐藤琢磨のコメント
「タフなレースでした。レース序盤、そして2度目のピットストップ後に、我々のマシンはペース的な問題を抱えました。そして(2度目のピットストップから数周後に)マシンが曲がってくれず、ターン3でワイドになり、壁に当たることとなってしまいました。こういうかたちで終わったのは残念ですが、次の週、ゲートウェイ(今季第15戦開催地のオーバルコース)で良いテストをしたいと思います」

インディ500初制覇を目指したい琢磨にとっては、原因不明気味なクラッシュでレースを失ったことはもちろん、今年最初のオーバル戦で全体的にシボレーのエンジン&エアロパッケージで走るマシン(特にペンスキー)が優位な雰囲気だったことも気になる要素。前述したように、ショートオーバルとビッグオーバルでは状況が違ってくる可能性もあるが、インディ500では2度のF1王座獲得経験者フェルナンド・アロンソを陣営に迎え入れることにもなっているホンダ、逆襲に期待したいところだ。

序盤4レースを終えたインディカー・シリーズは5月、いよいよ聖地インディアナポリス・モーター・スピードウェイへ向かう。アロンソの参戦で例年以上に大きな注目を集めている「第101回インディ500」(シリーズ第6戦、5月28日決勝)をクライマックスとする5月の戦いは、まずインディアナポリスのロードコースで開催されるシリーズ第5戦「INDYCAR Grand Prix」(5月13日決勝)で最初のヤマ場を迎える。

優勝の#1 パジェノー。《写真提供 INDYCAR》 2位の#12 パワー。《写真提供 INDYCAR》 3位の#21 ヒルデブランド。《写真提供 INDYCAR》 左から2位パワー、優勝パジェノー、3位ヒルデブランド。《写真提供 INDYCAR》 1周目に計5台が戦線離脱となるアクシデントが発生。《写真提供 INDYCAR》 #26 佐藤琢磨のフェニックス戦は苦闘となった。《写真提供 Honda》 #26 佐藤琢磨のフェニックス戦は苦闘となった。《写真提供 Honda》