日野 市橋保彦社長《撮影 池原照雄》

日野自動車は4月27日、2017年3月期の連結決算と今期(18年3月期)の業績予想を発表した。今期は国内に加えて東南アジアの販売も堅調な推移を見込み、営業利益は前期比5%増の750億円と、14年3月期以来4期ぶりの増益を予想している。

今期のグローバル販売計画は5%増の18万3000台とし、前期に続いて過去最高となる。このうち、4月に中大型トラックを全面改良した国内は0.3%増の6万7000台とほぼ横ばいながら2期連続での最高をめざす。一方、海外は主としてインドネシア、タイなど東南アジアの回復により8%増の11万6000台とした。

為替レートは1ドル110円と、前期より1円の円安を前提とし、営業利益段階では20億円の増益要因となる。しかし、鋼材など原材料費の上昇影響を110億円の減益要因に織り込んでいる。純利益は1%増の500億円と、4期ぶりの増益を予想。また、売上高は2%増の1兆7200億円と、2期ぶりの増収を見込んだ。

17年3月期決算は営業利益が27.6%減の712億円、純利益は24.1%減の494億円と、いずれも3期連続の減益だった。グローバル販売は4%増の17万4409台と過去最高になった。うち国内は10%増の6万6815台と、実に1973年以来43年ぶりの過去最高となった。

だが、円高による減益要因が282億円に及び、また新生産拠点である古河工場(茨城県古河市)の投資負担などが利益を圧迫した。17年3月期の年間配当は前期比12円減の26円、今期は同額の26円を予想している。

記者会見した市橋保彦社長は今期について「国内外で販売増を計画している。国内は中大型の新モデルに大きな手応えを感じており、積極的に取り組みたい。海外も東南アジアなどで着実に積み上げていく」と述べた。収益の圧迫要因となる原材料費の上昇懸念に対しては「古河工場への移転をしっかりとやり切り、生産性の向上や(各市場への)適格商品の投入、さらに原価改善により対応していきたい」と、表明した。

大型トラック『プロフィア』(右)と中型トラック『レンジャー』《撮影 山田清志》