レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》

レクサス初、つまり国産初ともいえるプレミアム・ラグジュアリークーペである『LC』には、パワーユニットをハイブリッドとした「LC500h」が用意されている。

1997年、『プリウス』を世に送り出し、ハイブリッド車の量産化に成功したトヨタはのちに「全車ハイブリッド化」と宣言し、その路線を突き進んできた。その宣言どおり、レクサスのプレミアム・ラグジュアリークーペであるLCにもハイブリッド版が用意されている。ピュアガソリンエンジンモデル「LC500」の477馬力/540Nmのスペックに対し、ハイブリッドはエンジンの出力が299馬力/356Nm、モーターが180馬力/300Nmというスペックを持つ。

LC500hのJC08モード燃費は15.8km/リットル、LC500の7.8km/リットルの2倍以上である。しかし、1300万円オーバーのプレミアム・ラグジュアリークーペで燃費を気にして買う人もいないだろう。ハイブリッドの存在価値は、「現代のラグジュアリークーペにふさわしいパワーユニットとは何か?」という問いに対して、5リットルのV8エンジンではない…という答えといえる。

LC500hはLC500と比べるとより先進的な味わいを持ったクルマとなっている。LC500は大排気量エンジンを搭載するクーペというコンサバティブな存在の最新モデルであるが、LC500hはプレミアムなクーペを現代的に仕上げたクルマといえる。4段の機械的ギヤと電気的CVTを組み合わせ10スピードとしたミッションは、スポーツモデルらしいステップ変速を実現。アクセルをフルで踏み込んだときはハイブリッドらしからぬ加速を感じられるが、普段使いではハイブリッドらしい走りを実現。

高速道路を100km/hで走っている際、エンジンが働いているときの回転数は1300回転程度だが、EVモードに入ると当然のことながら0回転となる。EVモードから、ハイブリッドモード、そしてエンジンのみのモード、回生ブレーキによるエネルギー回収と、さまざまなモードがよどみなく連携する。この細かな制御はハイブリッドのフロンティアであったトヨタだからこそできること。メカニズムを楽しむ、先進性を満喫するという面では、LC500hは満足感を与えてくれる。

さらに新しいシャシーから生み出される絶妙なハンドリングがその魅力に追い打ちをかける。LC500hは高速道路中心の試乗であったが、ランプウェイの回り込んだコーナーなどで感じる正確で限界の高いコーナリング性能はプレミアムモデルらしさにあふれている。LC500で走ったワインディングから察すれば、タイトコーナーでのハンドリングにも不満はないはずだ。

LC500hは1350万円〜という価格設定。おすすめ度については、価格を考慮せずに採点した。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 諸星陽一》 レクサス LC500h《撮影 雪岡直樹》 レクサス LC500h《撮影 雪岡直樹》 レクサス LC500h《撮影 雪岡直樹》 レクサス LC500h《撮影 雪岡直樹》 レクサス LC500h《撮影 雪岡直樹》 レクサス LC500(手前)とLC500h(奥)《撮影 雪岡直樹》