三菱重工業は4月14日、消防隊員の接近が困難な火災現場での活躍が期待される、自動運転機能を備えた「放水砲ロボット」と「ホース延長ロボット」の試作機を開発したと発表した。

放水砲ロボットは人が近づけない場所で消火冷却を効果的に行い、ホース延長ロボットは最大300mまで消防用ホースを自動敷設して、放水砲ロボットに効率良く水を供給。2機種は「偵察・監視ロボット」(飛行型および走行型2機種)および「指令システム」とで「消防ロボットシステム」を構成し、消防車1台に搭載されて現場に移動できる設計となっている。

消防ロボットシステムは、総務省消防庁が2014年度から5年計画で進めている「エネルギー・産業基盤災害対応のための消防ロボットシステムの研究開発」プロジェクトに三菱重工が参画して開発を手掛けてきたもの。同日、消防庁消防大学校消防研究センターにて、完成したロボットの一次試作機の特徴や性能を実証する実演公開が行われた。

三菱重工の2機種は、堅牢な足回りで高い走破性を持つ農業用小型バギーを改造した専用車体にGPSやレーザーセンサーを搭載し、自律制御可能な移動台車としたもの。2台のロボットは、互いを消防用ホースで接続された状態で自動運転により火元へ向けて走行する高度な技術を搭載している。

放水砲ロボットは、放水または泡放射を行うノズルを備え、1分間に4000リットル、圧力1.0MPaで放射可能。ホース延長ロボットは内径150mmの消防用ホースを最長300m搭載可能で、曲がり角を含む目的の経路上に、硬くて重いホースを適切に敷設できるよう、ロボットの走行に合わせて自動でホースの送り出しと巻き取りを実現している。