2016年スーパーフォーミュラ王者となった国本。今季はルマン24時間にも挑戦することとなった。《写真提供 TOYOTA》

28日、世界耐久選手権(WEC)のLMP1クラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingは、ルマン24時間レースを含む今季のWEC第2〜3戦に追加出走させる3台目のマシンのドライバーを発表。昨年のスーパーフォーミュラ(SF)王者である国本雄資が加わることが決まった。

トヨタは今季、悲願であるルマン24時間レース(WEC第3戦)での総合優勝を今度こそ果たすため、ルマンとその前哨戦的位置付けのWEC第2戦スパ・フランコルシャンには通常より「1増」の3台体制で臨む。このことは2月初旬に発表となっており、ドライバーのひとりが昨季までレギュラーだったステファン・サラザンであることも既決事項だった。

そしてこの日、サラザンと組む2名のドライバーが発表された。ひとりは、サラザン同様にトヨタのLMP1参画経験を有するニコラス・ラピエール。そしてもうひとりは、SFやSUPER GT(GT500クラス)といった国内トップシーンで活躍する国本雄資(くにもとゆうじ)に決まった。26歳の国本は昨年、自身初のビッグタイトルとなるSF王座を獲得。その余勢を駆って、世界の舞台にも飛躍する。

このオフ、国本がトヨタのWECテストに参加しているという話は公然の秘密とも化していたが、佐藤俊男チーム代表は国本の起用に際し、「テストにおいては安定的な速さで走ったばかりでなく、チームプレーの面でも素晴らしい内容でした。彼は耐久レースに要求される条件にも充分適応できる選手だと確信しています」とコメントしている。

国本雄資のコメント
「WECへの参戦は夢でした。いつかTOYOTA GAZOO Racingのドライバーとしてルマン24時間レースに出場することを願っていたので、このチャンスを最大に活かしたいと思っています。TS050 HYBRIDを初めてテストした時は、とても素晴らしく、心から楽しむことが出来ました。LMP1カーでのレース、そしてヨーロッパでレースを戦うのは自分にとって新たな挑戦ですが、全力を尽くしたいと思います。そのためにチームやとても経験豊かで速い、ステファンとニコラスという2人のチームメイトから積極的に学んでいきたいと思っています」

トヨタは今季のルマン(とスパ戦)に、下記の3台体制で臨む。

#7 TS050 HYBRID(小林可夢偉&M.コンウェイ&J-M.ロペス)
#8 TS050 HYBRID(中嶋一貴&S.ブエミ&A.デビッドソン)
#9 TS050 HYBRID(国本雄資&S.サラザン&N.ラピエール)

トヨタが2台のポルシェを打ち破ってルマンで勝ち、マツダに次ぐ日本で2番目のルマン総合優勝メーカーとなった場合、どのマシンが勝っても、関谷正徳、荒聖治に続く3人目の日本人ルマン総合優勝者が誕生する。そしてそれは、歴史上初めて「日本人選手が日本メーカーのマシンでルマン総合優勝を果たす」ことになる。

WECは4月16日決勝のシルバーストン戦で開幕するが、4月1〜2日にはイタリアのモンツァでプロローグ合同テストが実施される。3月31日〜4月1日にはSFの富士テストも予定されているが、可夢偉、一貴、国本は欠場となっており、モンツァの方にアテンドするものと見られる。

なお、一貴と国本は今季、SUPER GTにもレギュラーとしての参戦が決まっており、WECスパ戦と同週の開催になるゴールデンウイークのSUPER GT富士戦に関しては一貴の欠場が早い段階から発表されていた。おそらく国本も富士を欠場することになると見られるが、そのあたりについては今回の発表では触れられていない。

一貴と可夢偉に続く若武者のルマン戦線参画。今季のトヨタのWEC参戦に、さらなる注目要素が増えたといえよう。

TOYOTA TS050 HYBRID(2016年WEC)《写真提供 TOYOTA》 TOYOTA TS050 HYBRID(2016年WEC)《写真提供 TOYOTA》 中嶋一貴と小林可夢偉(2月の発表会にて)。《写真提供 TOYOTA》 2016年SUPER GTタイ大会で優勝した国本(右)。《写真提供 TOYOTA》 スーパーフォーミュラでは連覇を目指す国本(写真は昨季。今季の車番は「1」)。《写真提供 TOYOTA》