ルノー トゥインゴ撮影 中村孝仁

わざわざ日本国内向けにTWINGO Parisというロゴを作っちゃうほど大胆な訴求戦略を取る新しいルノー『トゥインゴ』。コンパクトでお洒落、そしてキビキビ感に溢れるその走りは、街中を走って楽しいの一言であった。

どうせ、スマートと一緒でしょ? そんなフレーズが返ってきそうな気がするが、ルノージャポン広報のブレン・フレデリックさんが面白い話をしてくれた。このリアエンジンレイアウトのコンセプトは、実はダイムラーとの提携が決まる前からルノーにあったものだったのだという。つまり、『スマート フォーツー』を考えた上でのリアエンジンではなかったということだ。では何故、ルノーは新しいトゥインゴにリアエンジンレイアウトを採用したのか。そこには次のような理由が隠されていた。

初代から数えてニューモデルはトゥインゴとして3代目。年々肥大するクルマのサイズに対して、トゥインゴはどうしてもAセグメントのサイズを守る必要があったのだが、安全対策を施して尚、過去のトゥインゴにようにフロントエンジンを守り通すのはもはや不可能。それでリアエンジンが必然となったというわけだ。フロントにエンジンがなくなって、ゆとりのスペースが生まれたから、ラゲッジスペースに使えると考えるのは浅はかで、これも安全対策でここにはオイルや水など、車両に必要な補機が積まれる以外は、クラッシャブルゾーンとして使われているのである。さらに歩行者保護の観点からフロントエンドのエクステリアはPVCで出来ている。

エンジンがリアシート背後に存在するのは、ルノーでは『4CV』や『10』など過去には存在した。ただし、エンジンノイズは車室内に入りやすい。それを36mmもある特殊なフォームでエンジンを覆い、ドライバーシートからはほぼ、軽いハミングにしか聞こえない程度にまで低減している。また、フロントにエンジンがない分、ハンドルの切れ角が大きくなり、最小回転半径4.3mと軽自動車並みを実現しているのも、シティーユースでは大いなる威力となる。

さて、借り出したモデルはキャンバストップの付いたモデル。これでも車両価格は200万円を切る199万9000円。さすがにナビは付かないが、バックソナーやヒルスタートアシストなどは標準装備になる。キャンバストップは初代トゥインゴ以来。電動でルーフのほとんどが開く。まだ残暑の残る東京は気温32度にまで達していたが、エアコンを全開にして敢えてオープントップでまずはクルーズしてみた。

6速EDCと0.9リットル3気筒ターボの組み合わせは、今回が初めて。『ルーテシア』の場合は5MTとの組み合わせだったが、案ずるより産むがやすしではないが、マニュアルモードで走れば、そのキビキビ感はほぼMTと同じ。加えてイージーに走れるオートマモードがあると考えればよい。

首都高速の流れに乗って走る。風の巻き込みはドライバーズシートにいる限り皆無。エアコンのブロアーがうるさいが、それを我慢すれば実に爽快なオープンエアモータリングが味わえる。0.9リットルのパワーユニットは基本、ルーテシアのそれと同じだが、リアに低く搭載することを目的に、実に49度も傾けている。このため、補器類の多くは新開発となったそうだ。

首都高を降りて雑踏に飛び込む。実に視界が広く運転しやすい。それもそのはずで、目線の高さは何と『キャプチャー』と同じだというのだ。しかもAピラーが立ち気味だから、尚のこと見切りが良い。オートマモードのEDCは、1.2リットルユニットと組み合わされたものよりも、停止直前のマナーがあまり良くなく(個体差も考えられる)、時々ギクシャクした動きを見せたが、本質的には渋滞など運転を愉しめない状況で使うべきモードで、本来は是非ともマニュアルモードで乗ることをお勧めする。パドルはないが、シフトレバーを前後することで変速が出来るから、マニュアル感も強い。ただ、近年のトレンドと違い、ルノーの変速は押してシフトアップ、引いてシフトダウン。最近は逆のケースが多く、車両に減速Gがかかりながら、操作はその逆というのは、あまり理に叶っていないような気がする。

短時間の試乗のため、高速での安定性やら、色々な使い勝手などは試すことが出来なかったが、どこかのクルマと同じボディを持っているとは思えないほど、洒落ていてウキウキするような感覚にさせてくれるトゥインゴはまさしく、パリのエスプリをふんだんに効かせたコンパクトカー。ほぼほぼ、高い軽自動車並みの値段で買えるプライスタグも大いなる魅力である。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

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