トヨタ エスティマ《撮影 松下宏》

発売から10年も経過した『エスティマ』がマイナーチェンジを受け、更に延命が図られることになった。今回は外観デザインを大きく変更したほか、足回りにも手を入れ、安全装備を追加するなど、それなりの改良が図られている。

とはいえ、基本設計の部分は10年前のものでいろいろな部分が古くなっている。それを更に売り続けようとするのは量販乗用車ではおよそ考えられない話である。

トヨタの販売力をもってしても、フルモデルチェンジをして採算に乗せるのが難しいのだろうが、だからといってマイナーチェンジで延命を図るのが良いかどうか、大いに疑問である。

例えば、足回りは改良によって乗り心地を良くした部分はあるものの、全体的な走りのフィールは10年前のものだ。とりわけミニバンの特等席であるべき2列目シートの乗り心地が良くない。常に振動が伝わっている上、路面の悪いところでは突き上げもあって大きく揺すられる感じになる。

安全装備の「トヨタセーフティセンスC」が設定されたのは一歩前進だが、“C”は2種類あるトヨタセーフティセンスのうち簡易版とも呼ぶべきもので、先進緊急ブレーキが人間を見分けられない。日本では、交通事故死者に占める歩行者や自転車に乗る老人の比率が高いので、先進緊急ブレーキは人間を見分けるタイプであることが強く望まれる。

上級仕様の“P”を装着できなかったのは、エスティマの基本設計が古いためだ。だったらなおさら“P”を装着できるよう、小手先のマイナーチェンジではなくフルモデルチェンジで刷新を図るべきだった。

エスティマは少量生産の特殊なクルマではないのだから、発売から10年も経過したなら、もっと良いクルマにするためにフルモデルチェンジするのが当然だったと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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