アクセラ スポーツ15S《撮影 平野敬久》

マツダ『アクセラスポーツ』のボディはCセグメントの中でも堂々としたもので、15Sはとても1500ccのNAエンジンが搭載されているクルマには見えない。しかも15Sとなると、マツダ コネクトなど装備も充実しているから、高級感の面でもなおさらだ。

実は筆者はそんな15Sにもう一つ、先入観を持っていた。それは、走りの楽しさに対するものだ。ドライバー1名だけの乗車では楽しいが、大人が4人も乗ればさすがにパワー不足で移動手段と割り切る程度だろうと思っていた。ところが実際に大人4名乗車で鹿児島のワインディングを走らせてみると、これが予想外に楽しい。

さすがに登り勾配がきついところでの2000rpmからの加速では、「おーい頑張れ」と声をかけたくなるが、少し我慢すればトルクバンドである3000rpmに達し、そこからは活発な走りが楽しめる。そしてもう一つ、驚いたのがエンジン回転を4000〜5000rpmを常用しても平均燃費が落ちていかないのである。大人4名乗車で高回転キープと、高負荷が重なる悪条件でも13km/リットル前後の燃費を表示し続けるのには、驚異的ですらある。

その理由については「アクセラ開発者への10の質問」でマツダ パワートレイン開発本部長の廣瀬氏に答えていただいたから、参照して欲しい。

それにしても加速時のサウンドの良さは惚れ惚れするほどで、完全なスポーツエンジンと言っていいほど楽しい。その上、一人で走っていた時に感じたハッチバックならではの、リヤの引き締まった動き、このタイト感が4人乗車でもしっかりと感じ取れる。何よりステアリングのリニア感がいい。コーナーを見るだけで直感的に操舵量がイメージ出来て切り足しや戻しがない。曲率が変わるコーナーでも操舵の調整は1発で決まる。

ダンパーの減衰を上げたりスタビライザーを太くしてもロール剛性は高まるが、それではダンパーやブッシュ類がヘタると、途端にハンドリング性能が悪くなる。アクセラの自然なロール感と適度なロール剛性はサスペンションの設計段階から練り上げられたもので、先代よりも経年劣化も少ないことが想像できる。

どうして15Sの走りがこんなに楽しいのか、それにも理由があった。アクセラの乗り味をチューニングした車両開発推進部の森内氏は筆者の疑問に明解に答えてくれた。

「ベースのモデルをしっかり作り込めば、後はエンジンのバリエーションに展開していくグレードアップなのでやりやすい。そうすれば全体としていいクルマに仕上がるんです」。

メインのグレードから作って、下のモデルを簡素化していくとどうしても手抜き方向になる。アクセラは全グレード手抜きナシ、だからこそ軽量シンプルな15Sの研ぎ澄まされた動きが魅力として押し出されているのだ。

かつて走りを楽しんでいた知人たちに「今お勧めのクルマは?」と問われたら、間違いなくアクセラ15Sを挙げるだろう。走る楽しさと実用性、そして環境性能を兼ね備えたハッチバックとしてベストと断言しよう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★


高根英幸|自動車&工業技術評論家(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
芝浦工大機械工学部卒。トヨタ直営ディーラーの営業、輸入車専門誌の編集者を経てフリーの自動車ライターに。クルマのメカニズムすべてに興味をもち、旧車からハイテクまで納得いくまで解析。ドライビングだけでなくメンテナンスやモディファイも自ら積極的に楽しむ。著書に「クルマのハイテク」(ソフトバンク・クリエイティブ刊)

アクセラ スポーツ15S《撮影 平野敬久》 アクセラ スポーツ15S《撮影 平野敬久》 マツダ・アクセラ 15S《撮影 平野敬久》