いつもNAVI [ドライブ]《撮影 山田正昭》

ゼンリンデータコムがAndroid向けに提供している「いつもNAVI[ドライブ]2013年度版」は、圏外でも利用可能ないわゆるオフボード型のナビアプリケーションだ。2013年版ではスマートフォンの標準的なタッチ操作が取り入れられ、地図操作が従来より直感的でスムーズになった。

いつもNAVI[ドライブ]の営業面を担当するIT・ITS本部モバイル事業部の小嶋静紀さん、開発を担当したナビゲーションサービス開発部の山田賢氏に話を聞いた。


◆品質最優先で開発した“高速ナビアプリ”

----:いつもNAVI[ドライブ]の開発経緯について、まずお聞かせ下さい。

小嶋:元々、弊社には車載機ナビ同等の使い勝手を目指した「いつもNAVI PND」という商品がありました。いつもNAVI PNDは、カーナビのOSであるWindows CE用から移植してWindows Mobile向けに最適化したアプリでしたが、この2〜3年でAndroidスマホが多数登場したことにより、“これはナビとして使えるのではないか?”というところから開発がスタートしています。

----:いつもNAVI PNDからAndroidへ移行する時に、心がけたポイント、苦労された部分というのはあるのですか。

山田:“品質最優先”ですね。PNDはターゲットが決まっていて機種も少なかったのですが、いつもNAVI ドライブは、私が開発に関わった段階で40〜50機種位のAndroid端末をサポートしています。ですが、この端末は良くて、この端末だとダメといった部分を潰していくために、まずは、膨大な検証作業とアプリが落ちない耐久性のところ手がけていって、それを高速化をさせてきたのが現在までの流れです。

----:アプリストアではユーザーから直接評価されますが、やはりエンジニアとしては評価は気になるものですか。

小嶋:読んでいると、厳しい指摘もあり胃が痛くなるような時もありましたが、最近では評価が上向いてきて、星5つが付いた時には、“やっと5がついた!”という感じで、とても嬉しいものです。


◆高速化には開発力が必要不可欠

----:どのような点が評価されたのでしょう?

山田:自分としては、こんなに安定して高速なAndroidの汎用ナビは存在しないと思っています。そのかわり、アプリ本体のサイズが大きいので、最初にダウンロードするのを我慢していただく必要がありますが…。

----:アプリを高速化するポイントというのは?

山田:端末に用意されているリソースを上手に使うことですね。ナビゲーションのプログラムは、いろんなスレッドを同時に走らせるのですが、CPUやメモリーの領域、Open GLなどAPI群の活用など、トータルで組み合わせて高速化が実現できます。その作業は地道な努力ですが(笑)。それで全然パフォーマンスが変わってくるのです。


◆2013年版で別物に生まれ変わった

----:2013年版では、ドラッグによる、地図移動、ピンチアウト・ピンチインによる拡大・縮小に対応しました。

小嶋:一見、同じアプリに見えますが全く違ったアプリに改良しています。これまでのものは、Windows CEベースのものを引きずっていた部分があったのですが、ようやくスマートフォンではあたりまえのタッチ操作に対応することができました。

----:いつもNAVI[ドライブ]では、Androidの2.3から4.3までサポートしており、動作確認機種は結構な数です。

ナビアプリというのは、一枚の地図が出ている裏でプログラムが同時にいろんなことをしているのですが、機種によってはいろんな動きをする中で違った動きをするものが出てきてしまうのです。そういった部分は、ブラウザーやJavaを使ったものではある程度の誤差を吸収してくれるのですが、いつもNAVI ドライブでは、より性能を求めるために、プログラムがOSの深い階層にまで入っているために、一機種一機種の検証作業が必要です。しかし、その分サポートできる数が増え、たとえばSIMがない端末やタブレットでも利用していただくことができます。


◆オンラインコンテンツも積極活用目指す

----:現状、いつもNAVI[ドライブ]では、ガソリン価格や駐車場、コンビニ、ファミレス・ファーストフードといったオンラインのコンテンツが利用できますが、今後はこうした通信連携のコンテンツなどを増やす考えはおありでしょうか。

山田:現状でも通信を使ったコンテンツに関しては一通りのものは揃っていると感じています。ゼンリングループとしては、地図に関するあらゆる情報は持っています。あとは、どうサービスとして提供するかかっています。開発陣はどんなものでもいつでも出せるように準備済みです。コンテンツの充実に関しては、通信を使う「いつもNAVI」では少しづつ進んできています。ただ、「いつもNAVI[ドライブ]」に関しては、我々は“硬派”でやってます。

----:硬派とは?

山田:ナビとして、いかに高性能であるか、地図が使いやすいのか、そこに注力してやっています。ですので、ナビを担当する私としては、ナビの基本性能が一般ユーザーに使ってもらえるための、また、ビジネス向けに展開する生命線だと考えています。

----:OEMビジネスでの展開のほうにも、可能性があると考えているのですか?

小嶋:最近は車載機カーナビとスマホの連携がありますが、我々の商材としても、センター側には住宅地図までありますし、カーナビのソフトがあり、地図に関することは丸ごと請け負えますので、各メーカーさんからすると、なんでもできる安心感があると思います。例えば、タクシーに「いつもNAVI[ドライブ]」を採用するといった場合、センター側には住宅地図を用意して検索結果をタクシーに指示を出すなんてことは、現実的なものだと思います。


◆スマホにも日本製ナビの良さを

----:今後の取り組みで、目指していきたい領域はありますか

小嶋:いつもNAVI ドライブに関しては、BtoBの商品の一つとしても、一般のお客様に手に取ってもらうナビとして、もっと機能を含めて拡充していきたいと思います。

山田:開発者の立場としては、ナビに関しては“Googleにありとあらゆるところで勝つ”と、エンジニアはそれ位の気合いで開発を行っています。今回のいつもNAVI[ドライブ]は、車載ナビを目指したWindows CEベースのものから発展したものにスマホらしさを取り入れたものなのですが、次期バージョンでは、よりスマホのナビならではのUIを目指して開発中です。世界中を見渡すと、スマホナビの基準となりそうなUIも出てきていますので、そういったものを参考にしつつ、日本製ナビの良さを取り入れたものに仕上げていきたいです。


《聞き手 北島友和》

開発を担当したナビゲーションサービス開発部の山田賢氏《撮影 椿山和雄》 ガイド中の画面。交差点では拡大図やレーン表示が出る。《撮影 山田正昭》 交通案内板の表示も大きく見やすい。《撮影 山田正昭》 IT・ITS本部モバイル事業部の小嶋静紀さん(右)と山田氏《撮影 椿山和雄》 【インタビュー】ゼンリンデータコム いつもNAVI[ドライブ]は「ナビ性能突き詰め“硬派”に攻める 」《撮影 椿山和雄》 周辺検索のメニュー。ガソリンスタンドやコンビニも重要だが、駐車場がないのはちょっと困った。《撮影 山田正昭》 駐車場の空満表示。「空」は青、「混」はオレンジ、「満」は赤なので分かりやすい。《撮影 山田正昭》 ジャンクションやインターチェンジではイラストによる案内が出る。ただし、高速道路料金所のレーン案内はない。《撮影 山田正昭》 ガイド中の画面。交差点では拡大図やレーン表示が出る。《撮影 山田正昭》 交通案内板の表示も大きく見やすい。《撮影 山田正昭》 ドライブコンテンツの一覧。ガソリンスタンドと駐車場はいつでも表示され、それ以外のコンテンツ1種類を選択できる。《撮影 山田正昭》