ZENT Audi R8 LMS ultra、鈴鹿での第5戦は決勝11位。

SUPER GTのGT300クラスに参戦しているHitotsuyama Racingの「ZENT Audi R8 LMS ultra」。“レーシングGTカー”隆盛の流れを世界的に推進した名車と言っていいR8 LMSは、国内外の多彩なマシンが競うGT300においても勇戦を続けている。

SUPER GTの今季第5戦(8月17〜18日)の舞台は鈴鹿サーキット。2009年に新装された近代的なF1基準ピットビルの2階ホスピタリティエリアには、ズラリと海外メーカー、それもドイツメーカーのブースが並ぶ。近年、GT300にはFIA-GT3規定車を中心に、多くの欧州メーカーが参戦。それも日本のカスタマーチームを本国サイドがサポートしながら、というスタイルが広まりつつあるようで、GT300はさながら“擬似世界選手権”ともいえるグレードの高さを有するようになっているのだ。各メーカーの本格的なホスピタリティ展開こそは、その象徴と言えるだろう。

日本(GT300)に限らず、世界的に“レーシングGTカー”と呼べる高性能マシンが数多く出現した背景には、まずFIA-GT3という車両規定の普及があるが、実際にその先陣を切って流れをつくったのはアウディR8 LMSだったと言っても過言ではあるまい。そしてAudi Sportの栄えあるカスタマーレーシングの一翼を担い、R8 LMSでGT300を戦っているのがHitotsuyama Racingだ。チーム主要スタッフのひとり、一ツ山陽介氏も、戦友たるR8 LMSを「まさしくそういったマシンだと思います。世界的な先駆けと言える存在ですよね」と讃える。

Hitotsuyama Racingは主戦ドライバーである都筑晶裕選手のパートナーに、GT500クラスやフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)でのチャンピオン獲得経験を誇るリチャード・ライアン選手を昨季後半から招聘するなど、強力な体制でGT300の熾烈な戦いに臨んでいる。しかしながら、今季の戦況はなかなかに厳しい。欧州および日本、両方面での技術規則推移の複雑な絡みが戦線を大きく動かしがちなGT300、今季はJAF-GT規定車の攻勢が凄まじく、FIA-GT3規定車勢は全体に苦戦傾向にあるのだ。都筑&ライアン組の「ZENT Audi R8 LMS ultra」(カーナンバー21)も第5戦までの決勝最高位が8位という成績に甘んじている。

一ツ山氏は「(欧州レース界主導で決まった)今季のFIA-GT3規定のBOP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)によって、GT300に参戦する我々の13年モデルニューカーも(第2戦から)新型リヤディフューザーは使えなくなるなどの影響を受けました。正直、タイムにも影響しています」と、今季の厳しい状況を説明する。ただ、決して悲観的な要素ばかりではない。第5戦鈴鹿では、1000kmの長丁場を戦い抜いて決勝11位。「完走することができましたし、チーム全体が一丸となって、今もっているパフォーマンス(規則的な状況のなかで発揮し得る力)の9割方は出し切った結果だと思います」(一ツ山氏)。規則変化の影響を受けつつの浮き沈みは、GT300では避け得ないこと。それは承知の上で、Hitotsuyama Racingはチーム力を向上させているのだ。

GTレースの新たな地平を切り拓いてきた名車アウディR8 LMSと、日本でそれを走らせ続けているHitotsuyama Racing。今後の挑戦にも注目したい(SUPER GT次戦は9月7〜8日の第6戦富士)。

ZENT Audi R8 LMS ultra、第2戦富士での搬入日の模様。 鈴鹿1000kmのフィナーレを飾る花火。写真:MOBILITY LAND 2013年 SUPER GT 第5戦 インターナショナルポッカサッポロ1000km(鈴鹿サーキット)《撮影 益田和久》 GT300は国内外の自動車メーカーが競う、擬似世界選手権化しつつある。写真:GTA