ゴルフ《撮影者 松下宏》

新型『ゴルフ』は、デザイン、基本プラットホーム、パワートレーン、装備などが全面的に新しくなると同時に、抜群に出来の良いクルマに仕上げられた。今回のゴルフではMQBと呼ぶ新しい開発・生産手法が採用され、そのことも出来の良さにつながったようだ。

外観デザインは良くいえばゴルフらしいということになるが、逆にいえば代わり映えがしない。外観デザインだけが新型ゴルフで物足りなさを感じる部分だ。

インテリアはインパネの中央部分を運転席側に向けて傾けたドライバー・オリエンテッドのデザインが採用された。これはゴルフ初の採用であり、内装に関してはチャレンジが行われた。トリムもソフトパッドが使われ、質感を高めている。

今回もボディが大型化し、全幅は1800mmに達した。これは日本市場での使い勝手の限界ともいえる数値だが、ここで踏みとどまったので良かった。これ以上大きくなったら日本ではお勧めできなくなってしまう。

ボディは大きくなったものの、同時に軽量化も進められ、軽くなった分が100kg近いというからすごい。装備の追加などで重くなった分を差し引きしても相当な軽量化になっている。

搭載エンジンは1.2リッターと1.4リッターのTSI(直噴ターボ)仕様、と聞くと従来と変わらないように思えるが、実際には全く新しいエンジンだ。アルミブロック製にすることで軽量化を進め、動力性能を向上と燃費を向上させている。

ゴルフを走らせてまず感じるのはボディのしっかり感だ。ボディを軽くしたにもかかわらず、レーザー溶接を多用することなどによって剛性の向上が図られている。剛性アップは乗り心地の向上にもつながる要素だ。

動力性能は1.2リッターでも十分といった印象で、1.4リッターなら余裕も感じられる。低回転域から十分なトルクを発生し、走行中はほとんど最大トルクかそれに近い状態で走っている形なので、余裕が感じられるのも当然だ。

1.4リッターに採用される気筒休止システムは、定速クルージングなどのときにエンジンの気筒数を絞って燃費を向上させるもの。高速道路を時速100kmくらいで走っているときでも、微妙なアクセルコントロールをすれば、気筒休止状態で走らせられる。

この切り換えは全くショックを発生しないので、メーターパネル内の表示を見ないと気筒休止が働いているのかどうかが分からない。

停車時にアイドリングストップ機構が働くと、ステアリングを動かしたくらいではエンジンが再始動しない。せっかくエンジンを止めたのだから、なるべく停止時間を長くしようという姿勢が一貫している。

7速のDSGは、旧型モデルの時代に中国で大リコールになり、日本でも改善が重ねられるなどしたが、今回のモデルではそうした不具合は解消されたという。実際に走らせても低速域でのギクシャク感がほとんど感じられなくなっていた。

1.2リッターのTSIエンジンはSOHCからDOHCに変わり、従来より低い回転数で従来と同じ動力性能を発生するようになった。足回りの仕様もシンプルな機構に変わるが、これも普通に走らせていたら違い分からない。

このほか、静粛性の高さや充実した安全装備など、ゴルフには特筆すべき要素がたくさんある。MQBの成果によって、装備や仕様を大きく充実させながら、価格を据え置きからやや引き下げたのも良い点だ。

ゴルフは、ほかのクルマが簡単には追いつけないような長足の進化を、一気に遂げて見せた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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