昨年5月、広島県福山市内で故意に赤信号を無視して交差点を通過した際、横断者をはねて死亡させたとして、危険運転致死罪に問われた26歳の男に対する裁判員裁判の判決公判が12日、広島地裁で開かれた。裁判所は懲役5年の実刑を命じている。

問題の事故は2012年5月9日の午前4時40分ごろ発生している。福山市東深津町4丁目付近の国道2号(片側2車線の直線区間)で、青信号に従って自転車で道路を横断していた41歳の女性に対し、赤信号を無視して進行してきた中型トラックが衝突する事故が起きた。

女性は全身強打で死亡。警察はトラックを運転していた呉市内に在住する26歳の男を逮捕したが、男は交差点手前で赤信号を認識しながら、減速することなく交差点に進入していたことが判明。検察は「故意に赤信号を無視した」として、危険運転致死罪で男を起訴していた。

これまでの公判で検察側は「被告は目的地で休憩時間を長く取るために先を急ぎ、故意に信号を無視したことが事故につながった」と主張。これに対して弁護側は「被害者を故意にはねたわけではなく、危険運転とされるような悪質性はない」と主張していた。

12日に開かれた裁判員裁判の判決公判で、広島地裁の上岡哲生裁判長は「被告は交差点の約53m手前で赤信号を認識していたが、約65km/hの速度を維持したまま進入した」と認定した。

その上で裁判長は「赤信号をあえて無視しており、不注意によって発生した事故ではない」と指摘。一方で「被告には反省の態度が認められる」と情状も酌量し、懲役5年の実刑判決を言い渡している。