まだアタックシミュレーションという次元には踏み込んでいないSF14・トヨタだが、それでも好タイムが出ている。

全日本選手権スーパーフォーミュラの来季ニューマシン「SF14」(ダラーラ社製)のシェイクダウンテストは、7月11日、富士スピードウェイで2日目を迎え、早くも1分24秒台という実戦さながらのタイムが記録されるに至った。

前日に続いて、新開発の直噴2000cc直4ターボエンジンを搭載した2台のSF14(中嶋一貴/トヨタ、伊沢拓也/ホンダ)が富士を走行。午前中の段階でトヨタが1分26秒727と、初日から約3秒の前進を見せ、ホンダも1分28秒台を記録した。

そして午後には「主にエンジン面で変えたことが劇的に効いて、こんなに速くなるんだ、という感じでした」という一貴が、25秒台を飛び越えて一気に24秒台に突入。最終的に一貴/トヨタは1分24秒697というベストを刻む。現行車のSF13(旧名FN09)は今春のテストで1分22秒台をマークしているが、季節差を考慮すれば、夏場のタイムは1分24〜25秒くらいと推察される。つまり、今日のSF14・トヨタのタイムはまさしく(2013年の)実戦レベルのそれだ。最高速も311km/hを記録しており、これも現行車同等レベル。

「このクルマの方が(すでに)速いんじゃないですか。少なくとも、目に見えて現行車より遅いということはないですよね。(タイトなコーナーが続く)セクター3は、たぶんこっち(SF14)の方が速い。低速区間でのダウンフォースという意味では、このクルマの方がいいですからね。高速コーナーに関しては(現時点では)現行車の方が速いかなあ、と思いますけど」と語る一貴は、エンジンについても「すごく遅れてターボが効いたりするわけではなく(アクセルを)踏んだなりに反応してくれる」と好感触。2日間のシェイクダウンテストを「良かったと思います。いいスタートが切れました」と振り返った。

一方の伊沢/ホンダは、タイム的には午後の終盤に出した1分26秒946がベストだったが、最高速を抑えての走行メニューに終始しており、280km/h台までの数字しか出さないなかでのタイムと考えれば、こちらも滑り出し順調と考えていい。

伊沢は「クルマのことはだいぶ理解できました」と語り、SF14を「素直で、クセがないクルマだと思います。(マシンに対して)自分が妥協する感じがないですから」と評す。

「クルマを動かしやすい。自分でコントロールして走らせている感じがしますね。ステアリングのしっかり感とかもあります」。F1参戦経験者の一貴と違ってカーボンブレーキは初めてだが、「今回はブレーキバランスが動かない状態だったこともあったんですけど、すぐにフロントがロックしてしまうので、慣れは必要でしょうね。F1がよくフロントタイヤをロックさせている理由が分かりました」と、早くも特性をつかんできている様子。

そして「向こう(トヨタ)はシフトアップでリヤタイヤが空転する(くらいパワーが出ている)って噂ですけど(笑)」と、ライバル陣営の動向を意識するコメントも冗談まじりに出てきた。ホンダ陣営エースの自覚、といったところか。

今週末の13〜14日にはスーパーフォーミュラ第3戦が同じ富士で開催されるわけだが、今日のSF14の“好タイム”マークによって、予選での現行車のタイムにも熱い視線が注がれることとなりそうだ。そして、世界最速量産フォーミュラである現行車以上のスピードレンジでのバトル実現を目指し、順調に走り出したSF14の次回テストは7月31日〜8月1日、ツインリンクもてぎにて実施予定となっている(3〜4日に同地にて第4戦)。

来季のスーパーフォーミュラは、全チームがこのSF14を使用して戦う。 走行を見守るホンダ陣営。 伊沢拓也がドライブを担当した、SF14・ホンダ。 来季ニューマシンのSF14は、イタリアのダラーラ社が開発した。 SF14・トヨタは最高速311km/hを記録。 中嶋一貴は午後に1分24秒台をマークした。 富士でのSF14初テストは、2日間ともドライ、暑いコンディションとなった。 テストを進めるホンダ陣営。 中嶋一貴がドライブを担当した、SF14・トヨタ。 SF14のテストを進めるホンダ陣営。 2日目午後の最高速。上段がトヨタ、下段がホンダのもの。ホンダは常に最高速を抑えたメニューでテストを続けていた。