ボルボV40《撮影者 松下宏》

『V40』はボルボの新しいエントリーモデルで、プレミアム・スポーツコンパクトとして開発が進められた。出来上がったクルマは今回の発売に合わせ、日本での呼び方を従来までのV40(ぶいよんじゅう)から、V40(ブイフォーティ)に変えたという。

スポーティな外観やスカンジナビアテイストにあふれたインテリア、余裕の動力性能を発生するパワートレーン、ボルボならではの充実した安全装備などを特徴とする。

外観デザインは傾斜を強めたAピラーやクーペ風のルーフラインなどがスポーティさを表現し、けっこうカッコ良い。

Aピラーの傾斜は視界や乗降性を考えると必ずしも良いことではないが、ワイド&ローのプロポーションと合わせてボルボらしからぬカッコ良さがある。このエモーショナルな外観が今のボルボデザインの方向性である。

インテリアは全体のトーンがスカンジナビアテイストでまとめられ、フリーフローティング・センタースタックを採用するのはほかのボルボ車と共通。一方で、選択した走行モードに応じて色が変わる液晶メーターなど、新しい要素も盛り込まれている。

安全性に配慮したハイバックシートは座り心地、ホールド性とも不満はなく、後席の乗降性や居住空間もまずまずの広さがある。強いていえばルーフ形状の関係で頭上に多少の圧迫感を受けるが、クリアランス自体は十分にある。

ラゲッジスペースの広さはステーションワゴンというより5ドアハッチバック的な感覚で、決して広いとはいえない。

搭載エンジンは直列4気筒1.6リッターの直噴ターボ仕様。132kW/240N・mの余裕ある動力性能を発生する。同じ排気量エンジンはヨーロッパのメーカー各社が採用していて、ボルボのエンジンはその中でもパワフルな仕様になっている。

ボルボのラインナップを見ても、『S60』や『V70』などの上級モデルにこのエンジンが搭載されているくらいだから、比較的コンパクトで軽量なV40のボディに対しては十分な余裕がある。

実際に走らせた印象もとてもスポーティなものだった。アクセルを踏み込むと気持ち良く加速が伸びて速度が上がっていく。デュアルクラッチタイプの6速ギアトロニックも滑らかな変速を見せ、低速域でのつながりにも不満を感じなかった。

ギアトロニックは積極的にシフトレバーを操作してマニュアル車感覚の走りを楽しむこともできるが、残念ながらパドルは装備されていない。今どきのクルマなら、またスポーティさを強調するなら、パドルによる操作も可能にしてほしい。

V40はボルボ車として初めてスタート/ストップ機能(アイドリングストップ機構)を採用することなどにより、リッター16.2kmの燃費を達成した。エコカー減税は75%減税が適用される。

足回りはかなり硬めの印象で、これも走りのスポーティさにつながる要素。試乗したのが上級グレードのT4 SEで、17インチタイヤを履いていたことも乗り心地に影響していたと思う。

ベースグレードのT4には16インチタイヤが装着されるので、乗り心地はもう少し良くなるはず。また16インチタイヤなら最小回転半径も5.2m(17インチは5.7m)になって取り回しも良くなる。

ボルボ車の価値の大きな部分を占める安全性に関しては、追突を回避・軽減する自動ブレーキのシティ・セーフティが標準装備されるとともに、カバーされる範囲が拡大されて時速50kmまでの領域で衝突を回避できるようになった。これによって安全性が一段と向上した。

加えて、セーフティ・パッケージというセットオプションが用意され、人間を認識してブレーキをかけるヒューマン・セーフティを始め、10種類に及ぶ最新の安全装備が用意されている。その中にはボルボ初採用の安全装備もいろいろある。

更に世界初の安全装備である歩行者エアバッグがオプション設定されているのもポイントで、安全のボルボらしい仕様だ。

V40の価格はベースグレードのT4で269万円。このクラスの輸入車としては相当な安さだ。ライバル車となるAクラスの価格を見た上で、明確に割安感が出る水準に設定したのだろう。十分な価格競争力である。

パワーシートなどが標準となる上級グレードのT4 SEは309万円で、これにいろいろなオプションを装着すると400万円に近くなるから、T4にセーフティパッケージと歩行者エアバッグ、PCC、パークアシスト(リヤ)などを装着し、車両価格で300万円くらいの仕様で買ったら良いと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

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