ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》

トヨタ『ルーミー』やスバル『ジャスティ』としてOEM供給するダイハツ『トール』。ダイハツ工業 開発本部製品企画部 嶋村博次CE(チーフエンジニア)に、このクルマに求められた走り、パパ・ママの想いをくんだつくり、ターボ車設定のプロセスなどについて聞いた。


◆ママの走り方に忠実に

20〜30代のパパ・ママ世代をターゲットとしたトールには、「ママの走り方」を意識した乗り味が仕込まれている。

「動的なところでは、お母さん目線で扱いにくさを解消していった。どうしても使いにくいクルマ、うるさいクルマ、走りにくいクルマだと、乗る機会が減っていってしまう。このクルマは、自転車で行けるような距離の目的地でも、ちょっとでも自分で運転して行きたいと思ってもらいたい」

「操安性もそう。クイックにクルマを操りたいというわけでもなく、ドライバーがハンドルを切れば、そのとおりにスーッと曲がってくれる乗り味に仕立てた。今の一般的なトールボックスは、右にハンドルを切っても、気持ちは右に行っているのにクルマがまだついてこない、という感じがある。ロールが入ってから曲がる感じ。その遅れがないように、ドライバーの思うようにスーッて曲がるようになると、安心で疲れない、いつも一緒にいられるクルマになる」


◆燃費だけでなく「制御」を重視

このトールに求められたパワートレインは、燃費だけではなく、パパ・ママが意図したとおりに走る、ドライバーに忠実な動きが重要視された。

「エンジンについては、ユニットやハードの担当者よりも先に、エンジンとCVTの制御を担当する人間と話を詰めていった。まず『僕はこのクルマをこう走らせたい』と伝えた。たとえばグッと前へ出たいのに、燃費を重視しすぎる故にクルマがドライバーの意図に反して加速しないと、クルマとドライバーとの想いがどんどん離れていってしまう。走っててアクセルをグッと踏んだら素直にスーッと前に出るようなクルマをつくりたい。制御の担当とは、まずそんな話から進めていった」


◆NAのあとにターボを設定

トヨタ『ルーミー』やスバル『ジャスティ』としてOEM供給されるトールは、まずNAエンジン設定で各方面のジャッジを経て、そのあとにターボが設定されたという。

「まずは『1リットルNAエンジンで出す』という大前提があって、そのあとに、実はターボ仕様も用意している、という順番で進めようと話していた。気持よく走らせるにはターボのトルク感がほしい。『絶対的なトルクがほしいときは、やっぱりターボが必要ですよね』という提案をした。トヨタの営業の人も、ターボ車のプロトタイプに乗ったあと、『意外だった、こんなに走るとは思わなかった』と言ってくれた。そのうち、役員クラスの人たちからも『このクルマはユニットを2つ持つだけの販売台数になるはず。だからNAとターボを設定してほしい』という声が出てきた」

ママ目線の走りをベースに、ドライバーの意図に忠実に動くように仕立てたトール。ターボ車も設定し、アグレッシブさや「ここぞというパワー」も備えて登場。嶋村CEは「燃費だけを追うクルマじゃない」と繰り返し伝えていたのが印象的だった。

ダイハツ工業 開発本部製品企画部 嶋村博次CE《撮影 宮崎壮人》 ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》 ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》 ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》 ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》 ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》 ダイハツ トール《撮影 宮崎壮人》