日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁

コンパクト車市場は2010年以降、様変わりした。日産の調べによれば、その名もA車が2010年にデビューすると、あっという間にブッチギリのトップに躍り出て、高値安定。『ノート』を含むライバルは、低値安定で推移しているからだ。

そのブッチギリのトップに君臨するのは、トヨタ『アクア』である。アクア登場以来、コンパクトカー市場の勢力図はすっかり変わってしまった。そしていつ、誰が、というかどのクルマがアクアを捉えるかが一つの焦点になる。そして2013年にフルチェンジしたホンダ『フィット』がご存知の通り、ずっこけてしまい、マツダ『デミオ』は躍進しているものの、遠く及ばない。市場は2012年以降ハイブリッド比率が急速に上昇し、その勢いは2018年まで続くとみられている。そうした中でのハイブリッドモデル、『ノートe-POWER』のデビューである。

アクアのスプリット式、フィットのパラレル式に対して、ノートe-Powerのハイブリッドシステムは、シリーズ式というものだ。これはガソリンエンジンを発電にのみ利用し、駆動源としては使わない方式。つまり駆動はすべてモーターによる。日産がこの方式を採用した背景には、『リーフ』で培ったEV技術があるから。そしてノートe-Powerのインバーターやモーターは、いずれもリーフから受け継がれたものなのである。


◆パワフルな加速感

これが意味するところは、リーフは端的に言ってCセグメントのモデルで、完全なEVだからバッテリー容量も大きく、ズバリ重い。車重は1.5トンを超える。これに対してノートはBセグメントだから一回り小さく、車重も一番重いメダリストで1220kgだから、リーフよりも300kgも軽い。その軽いクルマにリーフと同じモーターを使っているのだから、その性能は想像するだけで十分にパワフルであることが理解できる。

実際、 ノートe-Powerのパフォーマンスはクラスの最先端を行く。最大トルク254Nmは、およそBセグメントのクルマのものではなく、ほぼNAなら3リットル級といっても過言ではない。しかもモーターの特性上、走りはじめにこのトルクがドカ〜ンとくるわけだから、感覚的にはまさにのけぞる加速感が堪能できるわけである。

ただし、搭載しているバッテリーの容量は小さく、電気だけだとおおよそ3kmほどしか走れない。というわけで発電用のエンジンがかなり頻繁に回る。電気で動くんだから静かだろう…と考えてEV車並みの静粛性を想像すると、そこは間違いである。もっとも、静粛性はやはりかなり高く、これもBセグメントの範疇を超えているといって差し支えないと思う。


◆燃費はこれまでのどのハイブリッド車よりも優秀

走行は、ノーマル、eco、それにSモードが存在し、それぞれに異なる走行フィールが味わえる。ecoとSモードでは電気の回生量を増やす目的で、アクセルを離すとかなり強烈な減速Gがかかるようになっている。これはBMWの『i3』と同じようだ。この強烈な減速G を逆手に取ると、ブレーキを踏む回数が圧倒的に減る。日産では7割減だという。

ただし、慣れないと思ったよりもずっと手前で止まってしまうから、正直、運転には慣れを要するし、高速巡行中でも頻繁にアクセルを離すケースがあると思うのだが、その際にも強烈な減速Gがかかってしまうので、なかなかスムーズな走りが出来ない。またノーマルモードの場合、減速Gはないがブレーキ回生がないために、燃費が悪くなるという。そこで、トラックの排気ブレーキよろしく、ステアリングに付いたボタンでノーマルモードの際に回生ブレーキを利かせることが出来たらいいんじゃない?と提案しておいた。

いずれにしても短時間の試乗で、断定的なことは言えないが、燃費はこれまでのどのハイブリッド車よりも優秀で、一時は車載のコンピューターが32km/リットルを示し、びっくりした。おおよそ40分ほどの試乗コースを1周した後でも燃費は26.6km/リットルを示した。省燃費運転は全くしておらず、S、ノーマル、ecoを使い分けての試乗でこの値である。途中、どんだけ加速力があるか、一度だけフル加速を試してみたが、そりゃあ強烈!の一言。まあ瞬間芸だが…


◆プラットフォームに「?」

2012年にフルチェンジされたノートは、その際に全く新しい骨格を手に入れたそうだが、残念ながらこの骨格、「?」が付く。ノートのプラットフォームは独自のもので、ルノーと共有はしていないと、主担の高橋氏は話していたが、どうもルノーに乗ると運転が楽しくて、日産の同じプラットフォームを持つモデルだとつまらないのは何故?と言いたくなるほど日産のモデルはファントゥドライブではない。

ノートの場合、e-Powerが出る直前にノーマルのスーパーチャージャー付きガソリン車に乗ったが、正直ライバルと相みつを取って買うクルマというイメージしか持てなかった。というわけでNISMOバーションが12月にはデビューするというから、ドライビングプレジャーに関してはそちらを期待したいが、その前に、モードプレミアというオーテック版のe-Powerにはツーリングパッケージといって、ボディ補強を加え専用チューニングの足を持つモデルがあるそうだから、そいつに乗ってみたいものである。

正直、このパワー、侮れないし、このパフォーマンスで200万切りはお買い得感ありである。いわゆるエコ車でありながら、大きなモーターを積んでパフォーマンスを愉しめるのがこのシリーズハイブリッド。既存のノートと同じエンジンを搭載しているのは、大きなモーターに十分な電気を供給してやるためだそうで、それがパフォーマンスを発揮できる原動力なのだそうである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
  

日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 40分の試乗で得られた燃費がこちら。因みに市街地のみだ。撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁 日産 ノート e-Power メダリスト撮影 中村孝仁