天井板崩落事故の9人の犠牲者に黙とうを捧げる中日本高速本社・金子剛一社長CEOら幹部(4日・名古屋市)《撮影 中島みなみ》

「今回の事故によって9名もの方々の尊い命が奪われ、多くの方々が被害に遭われました。私たちは、人命に関わる重大な事故を引き起こしたことを厳粛かつ深刻に受け止めなければなりません」

笹子トンネル天井板崩落事故の対応が続く中日本高速会社で1月4日、金子剛一社長CEOが仕事始めの挨拶をした。目の前には部長級以上の社員とグループ会社役員約140人。その先には2200人以上の社員と関係者がテレビ中継を見守っていた。

2015年に「世界一の高速会社」を目指す同社。本来であれば新東名開通後の成果が語られるはずだったであろう13年の幕開けは、事故犠牲者への黙とうとお詫びから始まった。

国交相の指示でもある被害者対応、事故原因の究明と再発防止、早急な復旧の3つの課題に対する懸命の取り組みが語られ、金子氏は社員やグループ会社の取り組みを労ったが、挨拶のほとんどすべてが事故に費やされていることが、抱えていかなければならない問題の大きさを物語っていた。

「『安全・安心』というグループの根幹であり存在意義ともいえる部分が揺らぐという、創立以来の会社存亡の危機にあることを強く意識し『二度とこのような痛ましい事故を起こさない』という強い決意をもって日々の業務に取り組み、失われた信頼を回復していかなければなりません」

同社は「安全性向上計画」を策定し、1月下旬を目途に国交省に提出する予定だ。並行して「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」の原因究明も続いている。

金子氏は同社の経営計画「チャレンジV(ファイブ)」についても、「安全・安心」面から見直しを行うことも公表した。事故の影響が経営に現れるのはこれからだ。そして、次のように締め括った。

「全力を挙げて安全性向上に向けた取り組みを行うことで、高速道路に対するお客さまや国民の皆さまの安全への不安を払拭し、失われた当社グループに対する信頼を回復することをお約束申し上げる」

社員らを前に年頭挨拶する中日本高速・金子剛一社長CEO(4日・名古屋市)《撮影 中島みなみ》