レンジローバー・イヴォーククーペ 《撮影 島崎七生人》

2012年中の新型車のうち、ひときわ存在感を放っていたのがレンジローバー・イヴォークだった。このクルマに乗ると、本当にいろいろなことを考えさせられる。

何といっても独創的なスタイリングは、理屈抜きでいい。初代アウディTTのような斬新さは、人の気持ちを惹きつけ虜にする。5ドアよりクーペのほうがルーフがさらに落とされ、凝縮された上屋と最大20インチタイヤ&ホイールを履かせたアンダーボディとが織りなす、チカラの漲るバランスも絶妙だ。

レンジローバーらしいインテリアも、上質な素材感、デザインにどこにも手抜きがない。かつ、あくまで人に優しく居心地のいい空気感で満たされている。ステアリングのレザーの縫い合わせも、上の2か所はグリップに対し垂直方向、下2か所はダッシュボードの水平ラインに合わせているが、これは視覚的な自然さを意識してのことだろう。このように配慮はキメ細かい。日本車にもこういう風に、間合い、空気で世界観を表現するくらいのアプローチにもっとトライしてほしいと思う。

走りも快適だ。今回、クーペのダイナミックのインチダウン仕様+アダプティブ・ダイナミクス装着車を試乗し、クーペながら、なめらかな乗り味と俊敏な“足さばき”を両立していることを再発見。パーソナルな用途にこれはいいと思った。

4気筒2リットルターボ(240ps/34.7kg-m)の性能はまったく不満はない。というよりSモードで加速させると、爽快なほどの吹け上がりで、スポーツカーに乗っているような楽しさが味わえる。本当の大人が似合うクルマだ。 

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

レンジローバー・イヴォーククーペ 《撮影 島崎七生人》 レンジローバー・イヴォーククーペ 《撮影 島崎七生人》 レンジローバー・イヴォーククーペ 《撮影 島崎七生人》 レンジローバー・イヴォーククーペ 《撮影 島崎七生人》 レンジローバー・イヴォーククーペ 《撮影 島崎七生人》