マツダ CX-5《撮影 青山尚暉》

例年以上に採点するのが難しかった。持ち点を5台に配分し、1位は10点という決まりには従ったけれど、それがなければ6〜7台に点を上げたかった。1位と2位の間、5位と6位の間は僅差だということをまず告白しておきたい。

でも『CX−5』がひとつ飛び抜けていたのは事実。理由はデザイン、エンジニアリング、ファントゥドライブという3つの要素が高次元でてい立していたからだ。ディーゼルエンジンのデキは、世界的に見てもトップクラスだと断言できるし、SKYACTIVというオリジナルの思想によって、上記の3要素に関連を持たせ、1台のクルマとして筋がビシッと通った存在感をアピールした点も評価できる。

しかもそれを、多くの人が受け入れられる5ドア5シーターのクロスオーバーというパッケージングで提供した。この業界の人間は、異常と言えるほどスポーツカー好きが多いけれど、実用性や快適性で劣るスポーツカーは、限られた人間が限られた用途でしか使えない。ゆえに今の若い人たちはあまり興味を示さない。まず実用性や快適性を押さえたうえで、見て乗って楽しいクルマこそ理想ではないだろうか。

ヨーロッパ車はほとんどが、そういうクルマに仕上がっているのに対して、日本はエコカーとスポーティカーがはっきり分離してしまって、両方を満足させてくれるクルマが少ない。その点でCX-5は、うれしい例外だった。

森口将之|自動車ジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意としており、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。一方で趣味としての乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。試乗以外でも海外に足を運び、現地の交通事情や都市景観、環境対策などを取材。二輪車や自転車にも乗り、公共交通機関を積極的に使うことで、モビリティ全体におけるクルマのあるべき姿を探求している。日本自動車ジャーナリスト協会、日仏メディア交流協会、日本デザイン機構、各会員。著作に「パリ流 環境社会への挑戦(鹿島出版会)」など。

マツダ CX-5《撮影 青山尚暉》 マツダ CX-5《撮影 青山尚暉》 マツダ CX-5 マツダ CX-5《撮影 宮崎壮人》 マツダ CX-5